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男系男子維持派との対話(二)―安定的皇位継承を願って [皇室典範改正]

DSC_160020210529blog.JPG昨日の続きです。

(1)「一番大事なことは、天皇陛下のお気持ち(大御心)に思いを致すということ」

そのために、

① 各政権の提案、元侍従長の講演から拝察する

の続きとして、



・渡邊允(わたなべ まこと)元侍従長の講演をご紹介します。


Wikipediaより、渡邊允(まこと)氏の略歴・人物を転載します。

☆☆

略歴・人物
学習院初等科(1949年(昭和24年)卒業)、都立日比谷高校、東京大学法学部を経て、1959年(昭和34年)外務省入省。同期には松浦晃一郎ら。

外務省大臣官房審議官、中近東アフリカ局長(1989年(平成元年)3月7日- )、駐ヨルダン大使、儀典長(1993年(平成5年)11月2日 - 1995年(平成7年)8月4日)を経て、式部官長。

1996年(平成8年)12月12日から2007年(平成19年)6月15日まで侍従長。

宮内庁侍従職御用掛を経て、2012年(平成24年)4月1日から2020年(令和2年)6月18日まで宮内庁参与。

2007年(平成19年)、『プリンセス・マサコ』の出版に対して、宮内庁として容認できない記述に関する公式抗議状を送付。より近い立場にいる野村一成(東宮大夫)の対処との違いが際立って早かったと指摘されている。

2008年(平成20年)、瑞宝大綬章受章。退任後は皇室関連インタビュー・講演を多く行っている。

☆☆


渡邊允(まこと)氏は1996年12月12日~2007年6月15日まで10年半、侍従長を務められました。侍従長退任後も、宮内庁参与に就任されるなど、上皇陛下のご信任が厚かったと拝察申し上げます。

田中卓氏の著書から、渡邊允(まこと)氏の講演について、引用します。


☆☆☆

公開された渡邊前侍従長の講演
今年(平成二十五年)十月十九日、公益社団法人『國民會館』主催で渡邊允(まこと)氏の講演会が東京の国際文化会館で開かれた。(p275)

渡邊氏は、講演の最初の部分で、「皇位継承問題についても、これは法律の問題であり、法律の問題と言うことは政治の問題であるので、陛下はご意見を仰らないのである」と断っておられるが、最後の段階で、意を決した様子で、次のごとく話されたという。

皇位継承との問題の関係で、要するに跡継ぎの方がなくなるのであれば、いわゆる旧皇族、終戦後臣籍降下された旧皇族の方に復帰していただいて、その中から将来の天皇もあれしたらいいんじゃないかと議論をされる方があるんですけども、私はやっぱり、そういうもんじゃないと思うんです。と言うのは「血の一滴がつながっている」ことが大事なのか、それとも「陛下がずっと毎日毎日やって来られたことをお近くでずっと見て来られている」ことが大事なのかの問題に結局なるんじゃないかと思うんです。何もしない天皇で、血のつながりだけが、意味があるということであれば、それは要するにすごく長い遠い遠い親類の方をもう一遍持ってきてすると言うのは意味があるかもしれないけど、今、現在それから将来にわたっての天皇と皇族のお役割というのは、そういうただ名前だけで、私の先祖はこうだったと言っていることではだめなのです。客観的にそれじゃどうなんだと言われても困るんですけれど、私はまさにそういう背中を見て育っていないのですが、そういうことでなければいけないと思います。
 それからさらに言えば、女性の天皇は日本に八人おられたのであり、皆さん立派にやって来られたわけだし、女性の天皇ができないことはありえないのであり、女系かどうか言う話は、これは勿論歴史的な事実として一二五代男系で続いたということがあるけれど、それはその時の社会情勢がそうしたのであり、京都のお公家さんの世界の中の話であるし、それから何と言っても、いわば一夫多妻というと変だが、正妻以外の女性を子供を生ませるために近づけたことを許していた社会の話ですから、全然状況が違うわけですね。だから本当に皇室の将来を現実的に考えるならば、私はそういうことを考えるべきじゃなかと思っております。ただこれは一寸あれなので、私の個人の意見を、言わば独り言として申し上げたということで、聞いていただきたいと思います。

以上が、渡邊前侍従長の生の声そのままの書き移しである。高齢(昭和十一年生まれ)のお方の講演で、しかも慎重を期して区切り区切り話されているので、言葉の整っていない点もあるが、それだけに臨場感があり、論旨そのものは、前述の某氏の要約された通りと申してよい。
(pp278~279)

(田中卓著『愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか』幻冬舎新書)

☆☆☆


引用が長くなりました。以下の要約文もありますが、生の声の書き移しの臨場感があると思ったので、その部分を先にご紹介しました。


☆☆☆

間もなく発刊された『國民会館』の「講演会報告書」にも、要約ではあるが「皇位継承について」の項目に、次の通り書かれていた(なお、この報告書は渡邊氏にも送呈ずみ)。

これからは私見である。将来天皇に跡継ぎの方がおられなくなった場合のことを考え、戦後に臣籍降下された旧皇族に皇族へ復帰していただき、その中から天皇になっていただくべきと言う主張があるが、私はそれに与するものではない。
即ち「血の一滴が繋がっている」ことが大切なのか、「皇族として陛下が毎日なされることをお近くで見てこられている」ことが大切なのかの問題である。天皇の背中を直接見ていないのに、ただ血の繋がりだけで天皇になっても、現在および将来の皇室の役割は果たせないだろう。
従って過去に八名おられ、立派にその役割を果たされた「女性天皇」を可能とするべきであり「女系天皇」についても、確かに百二十五代男系が続いた歴史的事実があるが、それはその時の社会情勢がそうしたのであり、また一夫多妻が許されていたことが大きいことを考えるならば、同じく可能とするべきである。(pp276~277)

(田中卓著『愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか』幻冬舎新書)

☆☆☆


『講演の最初の部分で、「皇位継承問題についても、これは法律の問題であり、法律の問題と言うことは政治の問題であるので、陛下はご意見を仰らないのである」と断っておられるが、最後の段階で、意を決した様子で、次のごとく話された』

別の機会ですが、2010年頃、私は渡邊允(まこと)元侍従長のご講演を拝聴したことがあります。穏やかで品のある言葉遣い、余分なことを話さない慎重で誠実なお人柄が感じられました。決して軽々しい発言をする方ではないとお見受けしました。

法律の問題、政治の問題で、陛下はご意見を仰らないと断りながら、最後の段階で意を決した様子で話された、その言葉は信頼できると考えます。外部の批判等のリスクを承知の上で語らずにいられなかった渡邊元侍従長の胸中を思うと、胸に迫るものがあります。


②③は「天皇のお気持ちに思いを致す」ためにたどってきた私個人の学びの記録です。


② 天皇、皇族のお言葉から拝察する

私の学び方は以下の通りです。
・宮内庁ホームページ(お誕生日記者会見、歌会始御製、外国訪問・各式典のお言葉)
・TV「皇室アルバム」「皇室ご一家」「皇室日記」を必ず視聴する。
・扶桑社発行『わたしたちの皇室』」(後に『皇室』に改題)を創刊号から2010年頃まで毎号購読し、全文に眼を通しました。

③歴代天皇のお言葉(御製)、歴史から拝察する
・明治天皇御製、昭憲皇太后御歌の文庫本を持ち歩いて座右の書とする。
・『歴代天皇の御歌』『万葉の世界と精神上、下』をテキストに御製を学ぶ。これまで歴代天皇22代の御方、各1~10首の御製(計100首以上)に解釈を付し文章化。
・生前退位、皇位継承に関する書籍を読む(田中卓氏、高森明勅氏の著書など、書籍名は当ブログ末尾をご参照ください)


同じ御製やお言葉を拝聴しても百人百様の受け止め方があると思います。天皇のお言葉を自分の意見を強調する材料に利用することは厳に慎むべきです。

しかし、直接に利用するのでなく、天皇のお気持ちに思いを致したい、天皇の大御心に沿い奉りたい、天皇がどのようなお気持ちでいらっしゃるのかを知りたい、それは民としてきわめて自然な感情であり、天皇を仰慕する(仰ぎ見てお慕い申し上げる)者であれば、誰もが抱く願いであると思います。


私の場合は歴代天皇の御製を学ぶことで、初代・神武天皇からの一貫した大御心を上皇陛下、今上陛下が受け継いでいらっしゃるという確信を深めることができました。

また女性天皇7方の御製と、明正天皇の即位のご事情を学ぶことによって、女性天皇が男性天皇に遜色のないご事績を残されたことを知ることになりました。第109代・明正天皇は御製を残されませんでしたが、歴史上意味のあるお役目を果たされました。

https://onkochisin.blog.ss-blog.jp/2020-10-16
https://onkochisin.blog.ss-blog.jp/2020-10-17

なお、後水尾天皇の御譲位の理由は以下の通りです。
https://onkochisin.blog.ss-blog.jp/2020-10-20


上記のことすべてを考察の上で、天皇は男系男子固執ではなく、女系天皇を容認されていると拝察申し上げております。


今日も読んでいただき有難うございました。
今日が皆様にとって生きがいのある一日でありますようお祈り申し上げます。


皇室典範改正のために読んだ、読んでいる書籍:

私は多読ではなく信頼できる少数の著者の本を何回も熟読することにしています。皇室典範改正に関連して読んだ、読んでいる主な書籍名は以下の通りです。

○小田村寅二郎 小柳陽太郎編著『歴代天皇の御歌―初代から今上陛下まで二千首―』日本教文社
○田中卓著『愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか』幻冬舎新書
○高森明勅著『日本の10大天皇』(幻冬舎新書))
○高森明勅著『歴史で読み解く女性天皇』(ベスト新書)
○高森明勅著『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書、2016年11月)
○大前重雄 中島英迪 共著『皇室典範改正への緊急提言』新風書房
○山口悌治著『万葉の世界と精神 前篇』日本教文社
○倉野憲司校註『古事記』岩波文庫

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