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日本の皇室は政治から離れている [上皇陛下]

20220906blogDSC_2158.JPG日本の皇室はヨーロッパなどの君主と違い、政治から離れています。
天皇は政治的対立を超えた神聖な精神的権威としての役割を担っておられます。



今日は、高森明勅監修『天皇陛下からわたしたちへのおことば』を学びたいと思います。
2017年発行ですから「天皇陛下」は、現在の上皇陛下です。
文章は、陛下の次のお言葉から始まります。

☆☆☆

〔陛下のお言葉〕
“日本の皇室はヨーロッパなどの君主と違い、政治から離れている
(昭和47年12月19日 39歳の誕生日を前に)“

“「日本の皇室はヨーロッパの君主と違い、政治から離れているのでどうということはありません。天皇陛下(昭和天皇)からかねがね、これまで時の政府がどう変わろうと、永続してきたところに意味があると聞かされています。明治以後、政治にかかわりを持たれたこともあったが、本来は政治から中立的で、それらを超えたものであり、今後もそうあらねばならないと思っています。」”

(pp23~24)
(高森明勅監修『天皇陛下からわたしたちへのおことば』双葉社)

☆☆☆


お言葉が発表された、昭和47年(1972)は、日本共産党が第33回総選挙で38議席を獲得し大躍進した年です。高森氏は“当時の共産党は今以上に天皇制に批判的であった。共産党は民主連合政権構想を打ち出し、政権入りを目指し、それに一定の現実味もかんじられたような政治情勢であった。”と述べます。

当時の日本共産党は「君主制の廃止」を綱領に掲げており、(「君主制の廃止」の課題は、2004年の綱領改定で削除されました)、日本共産党が政権を取れば、天皇制廃止になりかねないことに一定の現実味が感じられました。そんな時代背景の中で、心配して質問した記者に向かって、陛下(当時は皇太子)は、「どうということはありません」、「(天皇は)本来は政治から中立的で、それらを超えたものであり、今後もそうあらねばならない」と答えられました。

高森氏は、陛下のお言葉を次のように説明しています。


☆☆☆

“陛下のこのお考えは、一貫している。慶應義塾を創立した福沢諭吉の著作である『帝室論』及び『尊王論』は、近代日本における卓越した天皇論と言われるが、これを教科書に勉強されていたことも、その背景にあるだろう。著書の中で、福沢諭吉が説いているのは次のような考え方だ。
① 国家には世俗的な利害の対立と調整に関わる政治の領域と、それを超えた神聖な精神の領域がある。
② 世俗政治の領域は政党と議会が担当する。近代的な政党政治は、合理性の一方で激しい権力闘争や策謀も免れない。
③ その政治的対立が避けがたければこそ、そうした対立を超えた高く神聖な精神的権威によって国内の統合が守られる必要がある。皇室はそうした精神的権威としての役割を担われるべき存在だ。”
(pp24~25)
(高森明勅監修『天皇陛下からわたしたちへのおことば』双葉社)

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皇室は、政治的対立を超えた高く神聖な精神的権威としての役割を担われるべき、この考え方を陛下は実際に身に付けておられ、その後も、繰り返し、このような表現をされています。平成18年(2006)に6月6日にも「他国の同じような立場にある人達(ヨーロッパの君主)と比べると(天皇は)政治へのかかわり方は少なかったと思います」と述べておられます。(前掲書p25)

作家の杉田幸三氏は、天皇にとって、政党は与党だから、野党だからの区別はない、どちらにもくみしない、また敵対もしない、共産主義すら、天皇の共産党といってもいのではないかと述べていますが、私はそれを読んで深い感銘を覚えました。執筆は昭和62年(1987)ごろで日本共産党は「君主制廃止」を綱領に掲げていました(2004年に削除)。自らを滅ぼしかねない日本共産党でさえ、天皇はご自身の政党だと見ておられると知って、眼からウロコが落ちる思いでした。(『日本の覚醒』新日本協議会)

文明批評家・中島英迪氏は自著『皇室典範改正の緊急提言』(新風書房)の中で、“昭和の末期には天皇制反対を叫んで皇室に反感を持っていた諸勢力も今や影をひそめ、天皇の存在を受け容れるようになりました。共産党ですら、その綱領から「天皇制打倒」を外してしまいました。天皇制に関する限り、革新派は大きく変容したのです。平成時代の天皇は左派に取り込まれたと見えて、実はすっかり左派を取り込んだのでした”(p115)と述べています。

反共を旗印に旧統一教会とタッグを組んでいる自民党保守派の中には「天皇が左傾した」と危惧する人がいるそうですが、天皇の公平無私な人格に感化された左派(日本共産党など)が、天皇に取り込まれたのであって、その逆ではありません。そこを間違えると、道を見誤ります。政党を超越された神聖な権威である天皇の偉大さがそこにあります。

ヨーロッパなどの君主と違い、政治から離れている天皇と皇室。日本の国が色々な混乱があっても、乗り越えて来られたのは、天皇という政治的対立を超えた高く神聖な精神的権威を戴いているからだ、とあらためて感じ入りました。

私自身の日本共産党へのイメージも修正されました。政策すべてに賛成とは行きませんが、カルト統一教会と手を組んで反天皇に走っている自民党旧安倍派よりも、はるかにまともだと思います。


今日も読んでいただき、有難うございました。
皆様にとって、心豊かな一日でありますよう、お祈り申し上げます。

タグ:日本共産党
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