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天皇陛下のお言葉(令和2年8月15日「全国戦没者追悼式」)に寄せて [今上陛下]

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皆様、お盆はどのように
過ごされましたか。

生活のリズムが変わって
ブログを更新できない日
が続きました。

今日からやっと普通に
戻れそうです。



8月15日は終戦記念日でした。正午には全国戦没者追悼式の中継を見ながら、黙とうを捧げ、天皇陛下の御言葉を拝聴いたしました。

☆☆

“本日,「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。

終戦以来75年,人々のたゆみない努力により,今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが,多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき,誠に感慨深いものがあります。

私たちは今,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,新たな苦難に直面していますが,私たち皆が手を共に携えて,この困難な状況を乗り越え,今後とも,人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。

ここに,戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ,過去を顧み,深い反省の上に立って,再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,全国民と共に,心から追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。”

(天皇陛下の御言葉 全国戦没者追悼式 令和2年8月15日(土)宮内庁ホームページより)https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/61#231

☆☆

短いお言葉ですが、かみしめると様々なことを考えさせられます。新型コロナウィルス感染症のことも、手を共に携えて困難な状況を乗り越えて、幸せと平和を希求し続けるとの願いを深く受け止めたいと思います。

戦争の惨禍により失われた命に向けられた陛下の深い悲しみと強い平和への願いが伝わってきて、全文が心に沁みます。昨年は、「深い反省の上にたって」のお言葉に言及いたしました。

https://onkochisin.blog.ss-blog.jp/archive/c2306215194-1


今年は、「戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民とともに、心から追悼の意を表し」の「戦陣に散」った人々に陛下が毎年、追悼の意を表され、思いを寄せられていることに感慨を覚え、そのことを書かせていただきます。

このお言葉「戦陣に散」った人々に着目したのは、戦争から帰還した将兵の手記を、数冊読んでからです。亡父が遺した本で父を偲びながら手に取りました。

最初に読んだのは、兵士の六割以上が餓死したといわれるインパール作戦に21歳で従事した兵士の手記(小田敦巳著『ビルマ最前線』)でした。極限状態に置かれた兵士の悲惨さに衝撃を受けましたが、同時に食べ物も無く、負傷しても治療を受けられない惨状でも、戦友を助け、軍紀を守ろうとする兵士の真剣さにも、心打たれ、涙しました。深沢卓男著『祭兵団インパール戦記』も心に残る本でした。

小田敦巳氏と深沢卓男氏のあとがきから、それぞれ引用させていただきます。

☆☆

“最後に伝えたいことは、多くの方々が平和、平和、平和がよいと語っておられ、まことにそのとおりですが、いったい何にくらべて平和が有り難く、どれほど幸いなのか――戦争の生の姿、その悲惨さを知っていただき、そのうえで平和がどれほど有り難いかを悟り、感じていただきたいと願うのです。それがこの小著を将来に対し贈る所以でもあります。”
(小田敦巳著 『ビルマ最前線』p284 光人社NF文庫)


“人間として歴史を知ることは、非常に大切なことである。それは遠く深く識るほど良いのである。
そして思考を重ね、反省し、誤りなく過去を把握し、現況を知り、将来を見通し、最良の方向を選択し、つねに交渉や、協調を重ね、ともに生きるという調和点を発見し、一人よがりの独走を避け、邪道は決して繰り返さない、繰り返させない努力が必要であろう。そして英知をもって、下等動物のような「共食い的」な戦争は絶対避けるべきだ。
しかし、他を顧みない、思いやりのない、独走や侵略がある限り、永遠に戦争はなくならないであろう。
大事なことは、それでも諦めてはいけない。
あくまでもねばり強く話し合いを続け、チャンスを逃すことなく、互いの調和点を見出し、少なくとも戦争は最小限に食い止めることに、最大の努力を続けるべきではないか。自らも侵略をせず、他の侵略をも、絶対認めるべきではない。そしていまわしい戦争の数を少なくし、小さくして行くことに、限りない努力を続け、永遠の平和を、願望すべきであろう。“
(深沢卓男著『祭兵団インパール戦記』pp301~302 光人社NF文庫)

☆☆


数冊の手記は、それぞれ異口同音に、平和を切に願う言葉で結ばれています。手記を出版するほどですから真面目な人ばかりなのでしょうが、極限の苦しみの中でも、人間の尊厳性を失わない姿に、深く感動いたしました。第三者の評論ではなく、直接戦闘に従事した人の手記を読むと、戦争とは実に複雑で多様な面を持っていることを、あらためて知らされます。

終戦の日を期に読み返してみようと思います。

今日も読んでいただき、有難うございました。
皆様にとって幸ゆたかな一日でありますように。


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