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天皇の御歌-大正天皇 [大正天皇]

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日常生活の心の持ち方、安心は、御皇室の方々の御歌を読むことで得られる気がいたします。

そんなことから、今日は、歴代天皇陛下の御歌(おうた)を学ばせていただくことにします。

幸い、日本教文社発行の良書が手元にありました。
(小田村寅二郎 小柳陽太郎 編著 『歴代天皇の御歌 ― 初代から今上陛下まで二千首 - 』日本教文社)

同著において、編著者の小田村寅二郎氏は次のように書いておられます。


“「詩歌」とはまことに不思議なものであり、とくに「和歌」を介しての作者と読者とは、時空の隔たりを超えて心一つに通ひ合うことができさうである。”(p3 はしがき 小田村寅二郎)

詩歌、和歌を介して、時空の隔たりを超えて、歴代天皇陛下の御心を学ばせていただけるのはありがたいことです。


明治維新を乗り越えられた明治天皇、大東亜戦争前後の困難な時代に国民の大きな支えとなられた昭和天皇の偉大さを学ぶ機会が多いですが、大正天皇の事は、治世期間が短く晩年御病気になられたこともあり、あまり学んだことがありませんでした。

それで、今まであまり読む機会のなかった、大正天皇の御歌を、まず学ぶことにいたしました。


大正天皇の御歌を、謹んで書写いたします。

☆ ☆ ☆


“(御詠年月未詳)

旅順閉塞隊(りょじゅんへいそくたい)

大君に さゝげまつると をゝしくも ふねとともにや 身を沈めけむ“


“従軍者の家族を思ひて

御軍(みいくさ)に わが子をやりて 夜もすがら ねざめがちにや もの思ふらむ“
 
(p380)



“(大正三年 ― 一九一四 ― 御年三十六歳)(中略)

浪風(なみかぜ)は 立ちさわげども 四方(よも)の海 つひにしづまる 時もきぬべし


朝顔
朝がほの 花を見むとて あけぼのの なほほのぐらき 庭めぐりする

(p382)


群雀(むらすゞめ) のきば近くも きてぞ鳴く 餌をやこふらむ 友や呼ぶらむ“

(p384)

(小田村寅二郎 小柳陽太郎 編著 『歴代天皇の御歌 ― 初代から今上陛下まで二千首 - 』 日本教文社 昭和52年8撥15日 第5版)


☆ ☆ ☆



始めの一首は、御詠年月未詳ですが、日露戦争時に詠まれたものでしょう。大正天皇は、御年十六歳から十七歳頃と拝察されます。

多感な少年時代に、旅順閉塞隊の活躍を耳にされ、その勇気を讃えながらも、作戦で命を落とした兵士に思いをはせ、お心を痛められたのでしょう。

細やかなお心づかいをされる天皇でいらしたことが思われます。


第二首目は、その留守家族に思いをはせられたものです。私事ですが、私の親族にも、日露戦争に従軍した人がありました。留守家族は、きっとこのように眠れぬ夜を過ごしたのでしょう。そうしてもたらされた平和のありがたさをかみしめています。

第三首め“浪風は”は、第一次大戦開戦時の御歌でしょうか。

この御歌で思い出されるのは、日露戦争開戦時(明治37年)の明治天皇の御歌です。


よもの海 みなはらからと 思ふ世に など波風の たちさわぐらむ


広く知られているこの御歌に呼応するような響きを持つ、第一次世界大戦開戦時の大正天皇の御歌は、“つひにしづまる 時もきぬべし” この戦も、必ずしづまる時がくるはずだとの強い御願いで結ばれています。切実な平和への思いが伝わって参ります。


第四首めの“朝顔”、第五首め“群雀(むらすゞめ)”は、そんな落ち着かない世情の時にも、身近な朝顔の開花をご覧になりたいと、早朝のお庭を散策され、あるいは軒端に集う雀の声に耳を傾けられる御歌です。

このように身近な植物、小動物を詠われる御歌に、天皇陛下の御日常が伺われほっとする思いです。

読んでいただき、有難うございました。皆様が、明るい日々を過ごされますように!

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