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男系派の漢心(からごころ)―根底にある男尊女卑思想 [皇室典範改正]

DSC_171220210618blog.JPG男系派の漢心(からごころ)について考えます。漢心の反対語は大和心(やまとごころ)です。

漢心:から‐ごころ
【▽漢心/▽漢▽意】
中国的なものの考え方。
中国の文化に心酔し、
それに感化された思想を持つことを、江戸時代の国学者が批判的にいった語。(Weblio)

大和心:
① =やまとだましい(大和魂)
② やさしくやわらいだ心。優美で柔和な心情。(コトバンク)

大和心:1 「大和魂 (やまとだましい) 2」に同じ。2 日本人らしい自然ですなおな心。(goo辞書)

大和魂:1 日本民族固有の精神。勇敢で、潔いことが特徴とされる。天皇制における国粋主義思想、戦時中の軍国主義思想のもとで喧伝された。
2 日本人固有の知恵・才覚。漢才 (からざえ) 、すなわち学問(漢学)上の知識に対していう。大和心。(goo辞書)

漢心は、漢意、唐心とも表記します。

大和心は、大和魂の意味においては、天皇制における国粋主義思想、戦時中の軍国主義思想の印象が強くなってしまいますが、このブログでは、むしろ「やさしくやわらいだ心。優美で柔和な心情。日本人らしい自然な心」の意味で使いたいと思います。


昨日、男系派がよく口にする「女系になったら王朝交替」の話をしました。なぜその発想が浮かぶのかといえば、男系派の頭脳が古代中国の革命思想に染まっているからではないかと思いました。

そこで隣国支那では、王朝はどのようなものだったのか、杉田幸三氏の文から学びたいと思います。


☆☆☆

隣国支那では、堯(ぎょう)・舜(しゅん)のような有徳の帝王時代でも、「帝王われに於ては何かあらん」といはれた。(中略)
それが悪徳王の代表として有名な、殷(いん)の紂(ちゅう)王、夏の桀(けつ)王ともなると、もはや易姓革命しか途がない。堯・舜は、不肖の子を措いて有徳の臣下に天下を譲った。湯王、武王は暴虐の君主を伐って天下を簒った。このやうに天子が姓を代へるのを革命といふ。そして堯・舜のやうに平和裡に自発的に天下を譲るのが禅譲、湯・武のやうに武力、暴力で民望を失った暴君を逐ふて王位を継ぐのを放伐といふ。易姓とは姓をか(易)ふ。革命とは命をあらた(革)める。獣の体から剥取った仮のものは皮、それから毛をとり去ったものが革。毛を取り去り、あらため作るから革をアラタムと訓ずるようになった。作り革、作り変へともいへさうではないか。つまり生命のつくりかへである。(中略)
元来漢族の信仰は風雨、寒暖、雷霆といった自然現象を神と考へた。自然崇拝である。そのうち天(皇天、上帝ともいふ)を至上のものとして尊敬した。これが拝天思想、といふのがふるい支那(中国)の政治、道徳、宗教の基調と思はれる。
 天は万物の親だ。宇宙の神羅万象はこれ悉く天が生んだとする。人間もしかりだ。天は人間の生成発育を望み、それを完成させるため、万民のうちでもっとも聡明有徳の人士でかつ衆望を負ってゐる者を万民の君、天の代表者として天下を治めしめる。天子がこれ。つまり天が任命したものである。だが、天は姿がなく発表表現の手段を持たない。そこで天命は下民、人員の与論となって発顕する。天子が失徳、暴政を施し与論の反抗の前に立つとする。ここに於て天命すでに彼を去り他の有徳者に下ったとする。
 だから天子の子孫でも、徳望がなければ父祖の業を継いで天下に君となり得ない。天子であることの資格は血統ではない。徳にのみあり、とする。堯・舜の禅譲といへども自分の意志のみで後継者を定めたものではなからう。おそらくは、諸侯や人民が推服してゐるかどうかが考へに入っていたに違ひない。
 上代における理想上の天子は、かく徳望の有無によって左右された。だからその地位は絶対不動のものとはいへない。近世の専制君主よりも、むしろ共和政体の大統領の地位に似ている。(pp90~91)

(「歴世一貫の真義 天皇なき日本はない」『日本の覚醒』新日本協議会出版部 昭和62年6月2日発行)

☆☆☆

[各王の国名、姓など]

堯舜:中国古代の伝説上の帝王、尭と舜。徳をもって理想的な仁政を行ったことで、後世の帝王の模範とされた(コトバンク)

堯:中国,古代伝説中の帝王。姓は伊祁(いき),名は放勲,尭は諡(おくりな)。
(デジタル大辞泉)

舜:中国太古の伝説上の聖天子。五帝の一人。姓は虞(ぐ)(有虞)、名は重華(ちょうか)。
(デジタル大辞泉)

紂(ちゅう):古代中国,殷王朝の最後の君主。名は辛(しん)。紂は諡(おくりな)。(コトバンク)

桀(けつ):前11世紀ごろの周の建国者。姓は姫,名は発。(コトバンク)

湯王:中国古代の殷(いん)王朝の創始者。成湯・武湯・武王ともよばれた。姓は子、名は履(り)といわれる。(コトバンク)

武王:中国、周王朝の創始者。姓は姫(き)。名は発。(コトバンク)

[感想]

支那(古代中国)では、日本の天皇とまったく違って、それぞれ別の姓の赤の他人が、次々に新しい国と王朝を建てていることが分かります。

杉田幸三氏は、「共和政体の大統領の地位に似ている」と評しますが、その通りで、次々に王朝が交替して、国の名前まで変わってしまうのは(時々、世襲があるにしても)、民意(にあらわれた「天命」)によって国の代表が交替する「共和政体の大統領」制に、むしろ似ていると思います。

男系派は、女系天皇のお子様の代になると、王朝が交替する日本になるとの幻想を抱いているようです。人は、対抗する相手が、自分の思想と同じ思想を持っていると思いがちです。彼らの頭脳が、古代中国の王朝の形が、日本と同じであると考えているから、対抗する女系容認の人々が王朝交替を起こすなどという、突拍子もない発想が浮かぶのでしょう。思いもよらぬことを言われた女系派(私)は眼を白黒するばかりでした。


ここでクイズを出します。

〇〇には「血筋」の継承について、次のような考え方が、伝統的にあった。
生命(気)は、父(男性)からその息子(男性)たちに伝わっていく。
母(女性)は、生命の形成と伝達について、その「形」を与えるだけ。
娘(女性)は、父の生命を受け継ぐが、自分の子(男女とも)には伝えられない。

〇〇(字数は決まっていません)に入る国名又は地域名を以下①~③から選んでください。

① 日本
② 支那(古代中国)
③ 西欧

男系派はきっと①の「日本」と答えるでしょう。男系派の一人と対話したときに、天皇の「霊統(天皇の証となる血筋)」というものがあって、それは男系の血筋でなければ伝わらない、それが日本の伝統的な思想であると、強く言われました。女系反対論の重要な根拠であると言いはって、決して譲ろうとしませんでした。広く男系派が共有している思想でもあるようです。

日本古代の双系社会について学んだ方は②を選ぶと思います。もちろん、私は②です。女性が間に入ったら「霊統(天皇の証となる血筋)」が伝わらないとしたら、皇祖(皇室の始祖)天照大神が女性神であるのは不自然です。(皇統と直接関係ありませんが、古事記神話で伊邪那美命(女性神)が単独でお生みになった神々は、神の力が伝わらないから、神々ではないことになりますが、古事記はそのように扱っていません。)女性天皇が8方10代即位されたこととも、整合性がなくなります。男系派は一代限りだったからというかも知れませんが、そうだとしても、古代の人々が、わざわざ霊統が途切れるかもしれないリスクを冒すでしょうか。

父方を通さなければ霊統が途切れるというのは、支那(古代中国)から儒教、仏教と共に日本に伝来してきた思想で、日本古来の思想を大和心とすれば、海外から流入して取り入れられた漢心(からごころ)だといえます。

『母(女性)は、生命の形成と伝達について、その「形」を与えるだけ。』、「娘(女性)は、父の生命を受け継ぐが、自分の子(男女とも)には伝えられない。」は、女性にとって実に失礼な話です。

故渡辺昇一氏(男系支持派)は、男は種、女は畑といって、種が同じならどんな畑でも同じ作物ができると言ったそうですが、前者はまさにこの支那思想そのものです。

普通の人の生活実感からいっても、父と母と、どちらも重要な役割があります。DNAからいっても、子供は父と母のDNAを半分ずつ継いでいます。父だけが大切、母は一段劣るという考えがあるとすれば、それは女性を不幸にし、妻の不平不満がまわりまわって、その夫たる男性も不幸にします。

この古代中国の迷信を、男系派諸氏が大真面目に信じて述べ立てるのを聞きますと、何と時代遅れなことかと、遺憾に思います。この迷信を信ずる人々が、自民党のコアな支持層として幅をきかせ、議員たちを牛耳って皇室典範改正の議論を必死に妨げているのは、現代日本と思えない、信じがたい有様です。

父(男性)を通して「気」が息子たちに伝わる、母、娘は子に伝えられないという思想は、「男尊女卑」の思想と密接な関係にあります。

女子誕生が喜ばれずに、男子誕生を待ち望む風習のために、どれだけ多くの母親が男子を産めないことに苦しみ、どれだけ多くの娘たちが誕生を喜んでもらえなかった悲しみに生きる気力を失ったか、男系派は考えて見たことがあるのでしょうか。

彼らは天皇を尊崇すると自称していますが、それにしては、日本人らしい大和心、「やさしくやわらいだ心。優美で柔和な心情。日本人らしい自然な心」をまったく失っている、男尊女卑の漢意(からごころ、)古代中国思想、にどっぷり浸かっている人々だと、断ぜざるを得ません。


今日も読んでいただき有難うございました。
皆様にとって心豊かな一日でありますよう、お祈り申し上げます。
タグ:女系天皇
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