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古代の双系継承について―「愛子さま 皇太子への道」 [皇室典範改正]

DSC_161920210606blog.JPG「愛子さま 皇太子への道」のサイトで「古代の双系社会と皇位継承」というタイトルの4回シリーズの記事が掲載されています。

昨日は、「(3)女性天皇の御子にも皇位継承資格があった」が掲載されました。
1~3まで読ませていただきましたが、多くの文献を調べ、要点を簡潔にまとめて下さっていて、とても勉強になります。

https://aiko-sama.com/archives/5652(1)
https://aiko-sama.com/archives/5707(2)
https://aiko-sama.com/archives/5636(3)

最終回(4)は、6月7日掲載とのことで楽しみにしております。

「(3)女性天皇の御子にも皇位継承資格があった」では、長屋王の例があげられていますが、当時の皇族のお気持ち、宮中の考え方が男系ばかりにこだわるのではなく、双系(男系、女系)が総合的に考慮されたことが拝察されます。

加藤官房長官は『父方が血筋を引く男系継承が「古来例外なく維持されてきた重み」といわれますが、父方の血筋を引く男系継承が維持されて来たのは色々な条件が重なった結果であって男系の血筋が偏重されていたのではありません。


先日、男系派の一人から「皇位継承に女系があったのですか」という質問をいただきました。私は次のようにお答えしました。

質問:皇位継承で女系はあったのでしょうか?

お答え:女系、男系についての定義が二通りあると思います。

男系派の定義は、次のようなもので。

○父方をずっとたどっていくと初代・神武天皇につながる。母方の血筋は問わない。父方を通して神武天皇につながっている女性天皇を「男系女子の天皇」という。父が天皇でなくても祖父、曾祖父など何代も父親をたどると神武天皇につながっている天皇を「男系男子」という。 旧宮家の方々は、600年前の天皇の子孫だが、父方の血筋が天皇につながっているので「男系男子」である。

○「女系」の定義は、父方の血筋が神武天皇につながらない、すなわち父親が皇族でない(臣籍降下した者や一般国民である)場合、母親が天皇であって母方を通して神武天皇の血筋につながっていてもそのお子様は男子も女子も、女系である。

○父方が神武天皇の血筋につながる方が女性天皇になった歴史上の前例は8方あるが、これらの女性天皇は全員が元皇后又は生涯独身であった。女性天皇が皇位継承後(または皇太子の時)に結婚して、そのお子様が天皇になった前例はない。

これに対して、女系派(女系容認派、双系派)の女系の定義は次のようなものです。

○女性天皇から皇位を継がれた御方の父親が、皇族(天皇の孫、曾孫など天皇の子孫)であるが天皇でない場合は、先代の女性天皇から皇位を継いだ御方だから、母親から皇位を継いだという意味で、「女系」と呼ぶのがふさわしい。

実例として第43代・元明天皇から皇位を継いだ第44代・元正天皇があげられます。元正天皇の父君、草壁皇子は天皇ではありませんでしたから、男性天皇から御位を継いだことにはなりません。

当時の人々は「女帝の子も親王」との「継嗣令」との考えに基づき、母親たる天皇から皇位を継いだ御方という意識を持っていたのではないかと思われます。

答えは以上です。

前述の「(3)女性天皇の御子にも皇位継承資格があった」(愛子さま 皇太子への道)を読むと、双系の見方による「女系」の考え方がよく分かります。

男系派の方への回答には書きませんでしたが、男系派による「男系」「女系」の定義は、何だか偏った考え方だという気がしています。

「一代でも女系になり、一般庶民の父親の血が一滴でも入ったら、その子は皇族でなくなる」と言う考え方は、アメリカのワンドロップ・ルールに似ています。

「ワンドロップ・ルール(英語: one-drop rule)とは、サブサハラアフリカ系の祖先が一人でもいれば(黒人の血が「一滴」つまりワンドロップでも流れていれば)、その人物は黒人(歴史的にはニグロという言葉が使用された)と見做されるという法的な人種分類の原則であり、歴史上アメリカ合衆国では重要な規定と見做されていた」(Wikipedia)

こんなことを言うと男系派に叱られるかも知れませんが「黒人の血が一滴(一代)でも入ったら白人ではない」との思想に酷似しています。きつい言葉を使いますが、レイシズム、人種差別主義につながる言葉です。

「男系男子」による継承は「古来例外なく維持されてきた重み」といいますが、注目され始めたのは明治の旧皇室典範以後のことで、それほど昔ではありません。日本人のふつうの感覚では、父方の血筋をそこまで重く見ていないと思います。一般庶民の間では、もはや家を継ぐという感覚そのものが昔ほど強くありません。仮に先祖代々の家業があって家を継ぐことが意識される家庭でも、婿養子や娘が家業を継いだからといって、「家業」の価値がまったくなくなったと嘆く人などいないでしょう。

日本の歴史では、男系男子の家督相続を過大に尊重したのは武家社会だけです。宮中では一貫して双系(男系、女系)の男女とも尊重されてきたことが学者の間で通説になりつつあります。

古来より現在に至るまで、皇室では、双系継承が考慮され、男女ともに大切なお役目を果たされて来たと思うと、何より心が安らかになります。庶民感情にも一致しているからでしょう。一視同仁ということですね。

今日も辛口になりました。感じた通りはっきり言ってあげるのも愛情のうちだと思って、自分を励まして書いてみました。


今日も読んでいただきありがとうございました。
良いことがたくさん見つかる一日でありますようお祈り申し上げます。
タグ:女系天皇
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