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国民とともに歩む皇室―『天皇陛下からわたしたちへのおことば』 [上皇陛下]

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このブログのタイトル説明文の言葉について、私は
『天皇、皇室に「敬(うやま)いと親しみの気持ちをもつ」ことが目標』
と掲げていました。

いちばん最初は『「敬して親しむ」ことを目標』、としていました。


その理由は、小田村寅二郎氏の著書『日本思想の源流』(日本教文社)のカバー裏のご文章を読んだからです。

「明治中期以降のわが国の思想界は、天皇については不勉強のそしりを免れない状況であって、戦前においては、天皇のことは〝敬してこれを遠ざける〟嫌いが濃厚であったし、戦後は、〝忌避してこれを黙殺する〟傾向が顕著にみうけられる。」

「敬して遠ざける」ではなく、「忌避して黙殺する」では無論なく、「敬して親しむ」ようになればよいのではないかと単純に(浅はかにも)考えたのです。しばらくそのままにしていましたが、最近になって「敬いつつ親しみの心をもつ」に変えました。それでも「親しみ」という言葉が、どうもしっくりきませんでした。天皇を尊崇する読者から、なれなれしく違和感がある、という声も聞かれました。

その理由が、高森氏の著書『天皇陛下からわたしたちへのおことば』を読んで、分かりました。以下同著から引用します。(文中の天皇陛下は現在の上皇陛下です。)


☆☆☆

“国民に親しまれる皇室ということは
私は言った記憶がない (昭和57年12月17日 49歳の御誕生日を前に)

ここに掲げたおことばだけを見ると、国民を突き放したようにうつるかもしれない。しかし、天皇陛下(当時は皇太子)の真意はまったく逆のところにある。それはこの直後に述べられたおことばからも一目瞭然である。
 つまり「自分が言ったのは『国民に親しまれる』のではなく、『国民とともに歩む』皇室だ」ということだ。「ともに歩む」というのは、皇室と国民の立場の違い、両者の区別が前提になっている。だからただ「親しく」ということではない。違いを踏まえつつ、「やはり国民の苦労はともに味わうということを昔の天皇はしていらした」。その関係はこれからも続けていかねばならないとおっしゃっている。
(中略)
 このおことばは、ご自身の立場と国民の立場の違いを非常に明確に自覚されている。なぜならば、天皇陛下は国民ではないからだ。日本国憲法第1条にある通り、天皇は日本国民の統合の「象徴」であって、日本国民ではない。天皇は憲法第1条の適用をおうけになる。一方、国民は第3条の適用対象だ。憲法第3章には国民の権利と義務が列挙されている。だが、天皇はそこには当てはまらない。まったく立場が異なる。親と子が立場は違いながら、苦楽をともにしているのに近い。”

(pp53~54)
(『天皇陛下からわたしたちへのおことば』高森明勅著 双葉社)

☆☆☆

上皇陛下が皇太子の時のおことばですから、天皇よりも比較的自由なご発言ができたのだと思います。しかしマスコミでよく使われていた親しまれる皇室という言葉に慣れていた私には軽いショックでした。そして「敬いつつ親しむ」をどう変えたらよいのかという悩みができました。親と子であれば、「感謝」の気持ちを表わす、としか思いつかないので、とりあえず今日からそのように変えることにしました。「戀闕(れんけつ)の思い」とか「尊崇の念」の言葉もありますが、あまり堅苦しくならない良い言葉はないものでしょうか。

天皇、皇室のことを学ぶと、日ごろのイメージ、被災地などを訪問されるお姿、新年の皇居参賀のおことばなど、お優しい笑顔ばかりを考えてしまいますが、ご存在の厳粛さに頭を垂れるときがあります。高森氏が書かれた「おことば」がそうです。

皇室典範改正に関連する高森氏の下記ブログでもそのことが書かれています。

「国民平等の原則の例外は唯一、天皇・皇族だけという事実」(2021年5月26日)
https://www.a-takamori.com/post/210526

憲法第1条 天皇
憲法第3条 国民の権利と義務

条文が、天皇と、国民と、独立した別々の章になっていることを、重く受け留めたいと思います。皇室と国民の区別は厳格です。それは日本の歴史伝統に則ったものでもあります。

高森氏は先に引用した文章を以下の様に締めくくられています。


☆☆☆

こうした皇室の在り方は、現在の天皇陛下が「昔の天皇」から学んで、その精神を現代にふさわしい形で受け継いだものだ。とたえば、昭和天皇にも次のようなおことばがある。「皇室もまた国民をわが子と考えられて、非常に大事にされた。その代々の天皇の伝統的な思し召しというものが、今日をなしたと私は信じています。」(昭和52年(1977)8月23日)と。
(p54)
(『天皇陛下からわたしたちへのおことば』高森明勅著 双葉社)

☆☆☆


皇室と国民の厳格な区別を前提として、国民をわが子のように慈しみ、ともに歩まれる皇室。
国民として、感謝申し上げるとしか、今は言葉がありません。というわけで反省とともに、ブログの説明文を変えることにいたしました。よりふさわしい言葉があれば随時変えることにいたします。

今日も読んでいただき有難うございました。
皆様どうぞ良い週末をお迎えください。

タグ:憲法 皇室
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