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天皇の御歌(68)―第126代・今上天皇(全国植樹祭) [天皇・皇后両陛下]

DSC_163820210603blog.JPG今日は、全国植樹祭と、天皇皇后両陛下、上皇上皇后陛下の御歌を学ばせていただきます。

令和3年5月30日に、第71回全国植樹祭が開催され、天皇皇后両陛下が、赤坂御用地から、初めてリモート(オンライン)にて出席(御臨場)されました。「全国植樹祭」は、年に1回、各都道府県の持ち回りで開催されています。
昨年は、今年の会場、島根県太田市で開催の予定でしたが、新型コロナウイルスのため、行われませんでした。

日テレNEWS 24 が植樹祭の模様を報道しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6a21198f44576110692a055f0b1ea1c7d2eabf5


☆☆

天皇陛下「このかけがえのない森林を健全な姿で未来の世代につないでいくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます」

式典では、天皇陛下がコロナ対策に尽力している人たちに敬意と感謝の意を伝えた上で、「緑の循環」の実現を願うお言葉を述べられました。

島根県大田市では、50年前にも「全国植樹祭」が行われ、30日は、その際、昭和天皇が植樹したクロマツを赤坂御用地に運び、陛下がノコを入れた他、両陛下が新たにスギやヤマザクラなどの苗を植えられました。これらは今後、島根県に運ばれ、活用されるということです。

(「島根県で全国植樹祭 両陛下がリモート参加」、日テレNEWS 24、5/30(日) 18:46配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6a21198f44576110692a055f0b1ea1c7d2eabf5

☆☆

以下は、宮内庁ホームページに掲載されている「第71回全国植樹祭(オンラインにて御臨場)令和3年5月30日(日)の天皇陛下のお言葉の一部です。


☆☆☆

“島根県においては,50年前の昭和46年に,全国植樹祭が,今回と同じ大田市三瓶山(さんべさん)で開催されました。私は,平成3年に第15回全国育樹祭が同じ会場で開催された折に,昭和天皇と香淳皇后がお手植えになったクロマツの枝打ちをしました。その時,ちょうど20年前の全国植樹祭で植栽されたクロマツが立派な林に育っていたことと,紅葉で色づき始めた三瓶山(さんべさん)の美しい姿が深く印象に残っています。

今回,そのクロマツが全国植樹祭の会場で活用されていると聞きました。また,本日は,昭和天皇お手植えのクロマツを収穫し,皆さんと共に再び苗木を植え,新たな「緑の循環」を始めることができることをうれしく思います。昭和の植樹,平成の育樹を経て,令和の収穫に至るまでの豊かな森林づくりに要した長い年月と関係者の御苦労に思いを馳はせ,感慨を覚えます。

森林は,木材や水などの資源を始め,快適な環境や文化を育む土壌を人類に提供してきました。また,温暖化の防止など,地球環境の保全に重要な役割を果たしています。このかけがえのない森林を健全な姿で未来の世代につないでいくことは,私たちに課せられた大切な使命であると考えます。

本日表彰を受けられる方々を始め,各地域において日頃から森林や緑づくりに尽力されている全国の皆さんに敬意を表し,そうした活動が,今後とも多くの人々によって支えられながら,更に発展していくことを期待します。

また,木材を利用することに伴い,再び苗木を植えて育てることが,戦後に造成された森林資源が利用期を迎えつつある今,重要な課題となっています。この課題の解決に向けて,様々な分野の人々が連携,協力することにより,植えて,育てて使い,また植えるといった「緑の循環」が広く実現することを期待します。

終わりに,この大会のテーマである「木でつなごう 人と森との 縁(えにし)の輪」にふさわしく,人と森との関わりによる「緑の循環」が,島根の地から全国へ,そして未来に向けて継承されていくことを願い,私の挨拶といたします。”

(「第71回全国植樹祭(オンラインにて御臨場)令和3年5月30日(日)(三瓶山北の原(島根県))」、主な式典におけるおことば、(令和3年)天皇陛下のおことば
https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/86#293

☆☆☆


天皇陛下は、平成3年の全国植樹祭に同じ会場で、昭和天皇と香淳皇后がお手植えになったクロマツの枝打ちをされました。

日テレNEWSは、今回は、天皇陛下が、伐採された同じお手植えのクロマツに、ノコギリを入れるお姿を映しています。

天皇陛下が仰る「緑の循環」を形に表わすお姿が、時の経過を思わせ、心に沁みます。

『この大会のテーマである「木でつなごう 人と森との 縁(えにし)の輪」にふさわしく,人と森との関わりによる「緑の循環」が,島根の地から全国へ,そして未来に向けて継承されていくことを願い、私の挨拶といたします。』

森林を守ること、人と森との縁(えにし)、それが島根の地から全国へ、そして未来に向けて継承されることを願われる天皇陛下、私も緑の循環を思い豊かな森林のある世界を願わずにおられない気持ちになります。


第一回の全国植樹祭は、昭和25年に、昭和天皇がはじめられました。

公益社団法人「国土緑化推進機構」のホームページで歴史・沿革を見ますと、昭和22年に、復活第1回愛林日植樹行事(東京・高尾)皇太子殿下ご臨席 (S22.4.4)とあります。正式な発足の前に植樹行事があったのですね。 
https://www.green.or.jp/about-us/history/


第124代・昭和天皇が、皇室の御料林が国有財産となり、帝室林野局に管理が移管された昭和22年に、「こりて世に いだしはすとも 美しく たもて森をば 村のをさたち」と、うつくしく森をたもつよう、にとの御製を詠まれたことを、先日当ブログでも、学ばせていただきました。
https://onkochisin.blog.ss-blog.jp/2021-04-29

昭和22年まで皇室財産だった森が国有になったこと、国民の財産になったことを昭和天皇が慮られ、広く国民に「うつくしく森をたもつ心」をお伝えになりたいと思われたことが始まりだったことと、拝察申し上げます。

その昭和天皇の御心が、第125代・上皇陛下、第126代・今上陛下に脈々と引き継がれていることを、御製と御歌から、学ばせていただきたいと思います。

以下は平成の「歌会始」ですから、「御製」は今の上皇陛下、「皇后陛下」は上皇后陛下、「皇太子殿下」は天皇陛下、「皇太子妃殿下」は皇后陛下です。


☆☆☆

[平成三年歌会始御製御歌「森」]

“御製

いにしへの 人も守り来し 日の本の森の栄えを 共に願はむ

皇后陛下御歌

いつの日か 森とはなりて 陵(みささぎ)を 守らむ木木か この武蔵野に

皇太子殿下

五箇山を おとづれし日の 夕餉時 森に響かふ こきりこの唄”

(『平成三年「森」』、お題一覧(平成元年から)、お題一覧(昭和22年から)
https://www.kunaicho.go.jp/culture/utakai/odai.html

☆☆

[平成八年歌会始御製御歌 「苗」]

“御製

山荒れし 戦(いくさ)の後(のち)の年々(としどし)に 苗木植ゑこし 人のしのばる

皇太子殿下

子供らと 苗木植ゑつつ 我祈る 健やかに育て 子らも苗木も

皇太子妃殿下
もろ手もちて ひたすら花の苗植うる 知恵おそき子ら まなこかがやく”

(『平成八年「苗」』、お題一覧(平成元年から)、お題一覧(昭和22年から)
https://www.kunaicho.go.jp/culture/utakai/odai.html

☆☆☆


それぞれ平易なお言葉なので、説明はいらないと思いますが、感想を述べさせていただきます。

1首目、上皇陛下の御製は、昭和天皇の昭和天皇の御心そのままを継いでいらっしゃると思います。
「いにしへ」から、代々のご先祖が守ってきた日本の森を大切にしたいと思います。

2首目、上皇后様の御歌は、昭和天皇の陵の木々を詠われたのですね。昭和天皇のことがしみじみとしのばれます。苗木は今どうなっているでしょう。参拝に伺いたいと思います。

3首目、富山県五箇山(ごかやま)は、1995年12月に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」 として世界遺産に登録されているとのことで、五箇山に歌碑も作られたそうです。

https://www.asahi-net.or.jp/~rk7j-kndu/bijutu/bi50.html

「歌碑に刻まれた御歌は、皇太子殿下が1991年(平成3年)の宮中歌会始 お題「森」に詠進されたお歌です。殿下が学習院高等科地理研究会の研修旅行で平村に来村になった折の感慨を詠まれたものです。」

http://nanto.zening.info/gokayama/Ainokura_Stone_monument_Crown_Prince.htm

白川郷五箇山は、自然に囲まれた合掌造りの家々がとても素敵なところですね。いつか行ってみたいです。

4首目、上皇陛下の御製は、戦後の荒れた山々に苗木を植えて、子孫に豊かな森を伝えようとした人々に思いを馳せていらっしゃいます。上皇様の戦跡に慰霊の旅を重ねられたことと思い合わせて、先の大戦と、その後の日本の復興を、いつもお心に留めていらっしゃることが偲ばれます。

5首目、天皇陛下の御製は、苗木とともに、子供たちのすくすく育つことを祈られています。健やかに生長されている愛子様のお姿とふと重ねられたのかと拝察申し上げます。

6首目の、皇后陛下の御歌に、皇后陛下の知恵おそき子らへの慈愛に満ちたまなざしが感じられ、このような深い思いを持つ、お優しい皇后陛下が天皇陛下と共にいらっしゃることを、尊くありがたく思います。


今日も読んでいただき有難うございました。
皆様にとって喜びの多い一日でありますようお祈り申し上げます。

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