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旧宮家案は憲法が禁じる「門地による差別」― 憲法第14条違反の疑いありとの学者の見解 [皇室典範改正]

DSC_151420210523blog.JPG男系男子限定を主張し、女系容認を断固拒否する人々が、主唱する旧宮家案。
昭和22年に皇籍を離脱した旧宮家系子孫の男系男子を皇族に復帰させるという案です。

男系男子限定継承を主張する人々の頼みとする、旧宮家案について、憲法学会を代表する2人の学者から、「門地による差別」という憲法上の疑義があると指摘がありました。


5月10日に開催された皇位の安定継承を目指す有識者会議の第4回会合において、現在の憲法学会を代表する2人の学者(京都大学名誉教授の大石眞氏、東京大学教授の宍戸常寿氏)が、「旧宮家案」(更に旧宮家に限らず、皇族ではない皇統に属する男系の男子に広く皇籍取得を可能にする案)に対し、揃って憲法が禁じる「門地(もんち)による差別」に当たるとして、憲法違反の疑いがあることを指摘されました。

これは私にとっても衝撃的なニュースでした。

旧宮家系の男子、竹田恒泰氏が、テレビの討論番組で討論相手に向かって「あなたと私は血筋が違う!」と叫んだことに違和感を覚えていました。が、その言葉が門地による差別につながることに思いが至りませんでした。

男系男子固執派の論者が人種差別的な言葉、女性差別的な言葉を口にすることが多いのも、そういう理由によるのかと思い当たりました。

憲法が禁じる「門地による差別」に該当する条文は以下の通りです。


+++++++++++

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的関係において、差別されない」(第14条第1項)

++++++++++++

学校で習ったことを思い出します。実社会で色々な差別を見聞きしますが、先の竹田氏の言葉に感じた強烈な違和感はこの理想を大きく逸脱していたからだと分かりました。

旧宮家案が「門地による差別」との憲法学者の指摘について、高森明勅氏のブログから引用します。


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旧宮家案は憲法が禁じる「門地による差別」という決定的な指摘

5月10日に開催された皇位の安定継承を目指す有識者会議の第4回会合。


“憲法上の検討”を中心課題としたので、他の回とは異なる重要性を持つ。


そこで、現在の憲法学界を代表する2人の学者(京都大学名誉教授の大石眞氏、東京大学教授の宍戸常寿氏)が、「旧宮家案」(更に旧宮家に限らず、皇族ではない皇統に属する

男系の男子に広く皇籍取得を可能にする案)に対し、揃って憲法が禁じる「門地(もんち)による差別」に当たるとして、憲法違反の疑いがあることを指摘された。

この事実は重大だ。


参考までに、それぞれが提出された「説明資料」から、関連箇所の一部を掲げておく。


「(上記の案は)一般国民の間における平等原則に対して『門地』などに基づく例外を設け、『皇族』という継続的な特例的地位を認めようとするものである。そうすると…憲法上の疑念があると言わざるを得ない」(大石眞氏)


「法律(皇室典範)等で、養子たりうる資格を皇統に属する(皇族ではない)男系男子に限定するならば…一般国民の中での門地による差別に該当するおそれがある。

さらに、仮に旧11宮家の男系男子に限定する場合には、皇統に属する(皇族ではない)男系男子の中での差別に該当するという問題も生じる」


「内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず、一般国民である男系の男子を皇族とする制度を設けることは…門地による差別として憲法上の疑義があると考える」(宍戸常寿氏)


念の為に、憲法の該当条文を引用すると、以下の通り。


「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的関係において、差別されない」(第14条第1項)


「国民平等」の原則を定めた条文だ。この例外は唯一、憲法第1章に基づいて国民とは立場を異にする、天皇・皇族“のみ”。


皇統に属する男系の男子は旧宮家系に限らず、国民の中に多くいる。

しかし、皇族でない以上、この条文自体が改正されない限り(たやすく改正されるとは考え難いが)、例外扱いは許されない。


なお、「門地」とは一般に「家柄。家格」)(『明鏡国語辞典〔第2版〕』)のこと。


憲法の注釈書には以下のように説明している。


「『門地』とは『うまれ』あるいは『家柄』の意味で、正確にいえば、出生によって決定される社会的な地位または条件をいう」(宮澤俊義氏、コンメンタール)と。


旧宮家系男性(あるいは、広く皇族ではない男系の男子)の場合、まさにこれに該当する。

政府が密かに、旧宮家案を早々と現実的な選択肢から除外した最大の理由は、実はこの点にあったのかも知れない。

[『旧宮家案は憲法が禁じる「門地による差別」という決定的な指摘』2021.05.15 高森明勅公式ブログ https://www.a-takamori.com/post/210515 ]

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○大石眞氏の指摘:

「(上記の案は)一般国民の間における平等原則に対して『門地』などに基づく例外を設け、『皇族』という継続的な特例的地位を認めようとするものである。そうすると…憲法上の疑念があると言わざるを得ない」


○宍戸常寿氏の指摘:

「法律(皇室典範)等で、養子たりうる資格を皇統に属する(皇族ではない)男系男子に限定するならば…一般国民の中での門地による差別に該当するおそれがある。

さらに、仮に旧11宮家の男系男子に限定する場合には、皇統に属する(皇族ではない)男系男子の中での差別に該当するという問題も生じる」


「内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず、一般国民である男系の男子を皇族とする制度を設けることは…門地による差別として憲法上の疑義があると考える」


門地とは:

「門地」とは一般に「家柄。家格」)(『明鏡国語辞典〔第2版〕』)のこと

憲法の注釈書には以下のように説明している。
「『門地』とは『うまれ』あるいは『家柄』の意味で、正確にいえば、出生によって決定される社会的な地位または条件をいう」(宮澤俊義氏、コンメンタール)

[感想]

大石眞氏は、

一般国民の間の平等原則に「門地」に基づく例外を設けて「皇族」という特例的な地位を認めると、…憲法上の疑念がある。


という意見だと思います。


宍戸常寿氏は、

皇室典範等で、皇族の養子になれる資格を皇族でない皇統に属する男系男子に限定するなら、…一般国民の中での門地による差別に該当するおそれがある。

仮に旧11宮家の男系男子に限定するなら、皇統に属する男系男子の中での差別に該当するという問題も生じる

内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず一般国民である男系の男子を皇族とする制度を設けることは…門地による差別として憲法上の疑義があると考える

という意見だと思います。


まとめますと、

「内親王・女王との婚姻を通じた身分設定以外で一般国民である男系男子を皇族とする制度を設けることは、門地による差別として、憲法上の疑義がある」

ということだと思います。

言い換えれば、内親王・女王との婚姻が無いのに、一般国民である男系男子を皇族とする制度を設けることは、憲法上の疑義があるということですね。

旧宮家の子孫だから制度を設ければ皇族になれるということは、憲法上の疑義がある、憲法違反の可能性大であり、実現の可能性が無いという意見だと思います。


竹田恒泰氏の「あなたと私は血筋が違う!」は、旧宮家系男子の皇籍復活の門地による差別を端的に表現した言葉だったのですね。

「家格」、「家柄」、「うまれ」、「血筋」、あるいは性別、人種で人を差別するのは、旧来の陋習だと思います。 人々を苦しめる悪しき慣習にこだわるのはやめて、差別のない、誰もが伸び伸びと暮らせる世の中にしたいものです。


今日も読んでいただきありがとうございました。
梅雨入りした地方も多いですが街に花があふれる季節になりました。
皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

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