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女系になっても皇室は別物になりません [皇室典範改正]

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女系天皇、女性宮家を創設したら、「皇室が別物になる」との言葉を目にしました。

昨年の産経新聞の記事に次のような言葉がありました。

そういうことを考えている人が、自民党議員重鎮の中に、まだいるのだなあと、不思議に思いました。


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『こうした中で、党幹部から女系容認論があがったことに対し、ある党重鎮は「女系になったら皇室が全く別ものになってしまうことを知らないのか。不勉強だ」と苦言を呈す。』
https://www.sankei.com/politics/news/191129/plt1911290078-n2.html

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申すまでもなく女系天皇、女性宮家が創設されても「皇室は別物」になりません。日本の、先祖が伝承してきた神話、そして日本の歴史を、古代から誠実・丁寧に学べば、「女系になったら皇室が全く別ものになる」と思い込む人こそ、よほど不勉強であることが分かります。


当ブログでは、女性天皇について、神功皇后、推古天皇、皇極天皇・斉明天皇、持統天皇を取り上げましたが、男性天皇と遜色ないご活躍ぶりを学ぶにつけ、日本は双系社会で、女性も男性に遜色なく活躍してきた国であり、これから活躍できる可能性を持っている国であることが分かって来て、期待に胸がふくらみます。

古代のように女性が生き生きと活躍できる時代が、もう一度復活すれば、日本は一段と活気づき、男性も女性も、共に幸福度を増し、国中が、新しい息吹に満たされると思います。その扉を開くのが、女性天皇の実現であり、女性宮家創設であると思います。


確かに過去においては126代の天皇の父方をたどると、一番遠くても五世離れた男性天皇の子孫であるというように、父方をたどれるというのは、そのとおりです。

女系の天皇を認めれば、「母方しか、たどれなくなる」ことになり、歴史始まって以来であるから、不安であるという気持ちはよく分かります。誰でも、初めてのことに恐れと不安を感じるもので、その気持ちは理解できます。

しかし、新しいことを恐れて、縮こまって、改革しなければ、行き詰まってしまうことが分かっていながら、それを行わないのは勇気がないということです。勇気の無さを、実行しないことの言い訳にしてはならないと思います。

明治以来、あるいはその前の時代でも、日本の皇室は、伝統を重んじつつ、必要とあらば、改革・革新を、躊躇することなく実行してきました。

昭和天皇は女官制度(側室制度)を廃止されました。それを反映して、現皇室典範では、庶子(正妻の子でないお子様)による皇位継承を廃止しました(1947年)。

それまでの2000年間、日本の歴史上の天皇の約半数は庶子でした。側室制度を廃止されたのは、まさに歴史始まって以来のことです。神武天皇の時から奥様は複数いらっしゃいます。偶然、奥様がお一人の方もあったかも知れませんが、制度としても、複数の奥様をお持ちになることは、昭和天皇の時代までは、当前のこととして、公認されていました。それを敢然と廃止されたのは、日本の2000年以上の歴史の中で、まさに初めてのことでした。

男系男子の継承を維持し続けようと思うのなら、側室制度を前提とした庶子による継承を復活しなければなりません。しかし、それはどう考えても無理です。

現皇室典範を制定するに当たって、当時の吉田茂首相は次のように説明しています。

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「天皇陛下は国の象徴、国民おのおのの象徴として、則ち国民道義の儀表(手本)たるべきお方であるのでありますから、その御地位に即かれるお方も正当の婚姻によって生まれた方に限りたい、これが提案の趣旨であります。」(昭和21年12月6日、衆議院本会議)

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当然と言えば当然ですが、国民のお手本でいらっしゃる天皇陛下が正妻のお子様でないということは、国民感情に照らしても、国際的に見ても、あり得ないことですね。


また、男系支持派は、女性天皇の夫(皇婿(こうせい))について、家系が変わるのではないかという懸念を持っています。

よく聞かれるのは、皇統が、配偶者の家系に移ったと観念されるというものです。1947年、旧典範の「男系男子」限定が、明治時代の典範から受け継がれる根拠になったのが、このことでした。当時、法制局がまとめた「皇室典範に関する想定問答」に、こう書かれていました。

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「女系が問題になるのは、その系統の始祖たる皇族女子に皇族にあらざる配偶者が入夫(にゅうふ)として存在しその間に子孫がある場合であって、此の場合、女系の子孫は仍(すなわ)ち皇族にあらざる配偶者の子孫で臣下であるといふことが強く感じられ、皇統が皇族にあらざる配偶者の家系に移ったと観念されることを免れない」と。

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父親が皇族ではないので、その子孫が皇族ではない、一般庶民であると、見られてしまうことが懸念されたということです。

しかし、一般庶民の生活に置き換えても、家の名を継ぐということはよくあることで、入夫(にゅうふ)する男性は、女性の姓に改名して、その家を継ぎます。その子孫は、入夫した○○家の子であるということに、誰も疑問を持ちません。お父さんが○○家の人ではないから、などとこだわるという話は聞いたことがありません。庶民感情からして、皇室に入られた方が男性であっても、女性であっても、不自然だとこだわる方が、変だと思います。

一般庶民と皇室を一緒にするなと、重鎮の自民党議員からお叱りを受けそうですが、「国民と共にある」という天皇陛下の御心からしても、そこに区別を設ける理由は何もないと思います。区別を設けて、皇室を別世界だと強調することの方が、国民を皇室から遠ざけることになるのでは無いでしょうか。


皇室の場合は、「姓」が無いので、入夫される男性は、「姓」がなくなり、皇族になります。
元の姓が、皇室に影響を及ぼすことがないのは、美智子様、雅子様が皇太子妃、皇后になられても、正田家や小和田家が、皇室に何の影響も及ぼしていないのと同じことで、何も問題になりません。

それが問題になると思う人は、どこかで「女性というものは、男性の言いなりになるひ弱なもの」という、時代遅れの先入観があるのではないでしょうか。

男系支持派で、眞子様のご結婚に反対する某著述家は、「眞子様は悪くない、小室さんが悪い」と言っているそうです。眞子様は女性だから、男性を見る眼が無い、と言いたいのでしょうが、人を見る眼のある無しに、男性も女性もありません。それは「女性は男性のいいなり」、「女性は男性に騙されるもの」という、俗な先入観によるものだと思います。

天皇陛下が選ばれた伴侶、秋篠宮殿下が選ばれた伴侶を見れば、天皇、上皇、皇族の人を見る眼が確かであると信じることが出来ます。秋篠宮殿下ご夫妻が手塩にかけて育てられた眞子様も、これから女性宮家の当主となられる方々も、必ず人を見る眼を育てておられると思います。それを信じないのは、女性に対する偏見があるからではないでしょうか。


今日も読んでいただき有難うございました。

寒くなってまいりました。町に出ると紅葉がきれいです。
葉を落とした冬木立もそれなりの風情があります。

皆様お身体にお気をつけてお過ごしください。

[黒ハート][黒ハート]
参考資料:

高森明勅著『歴史で読み解く女性天皇』ベスト新書

タグ:女系天皇
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