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国民民主党の国民の声を聞く地道な憲法改正草案づくり [憲法]

国民民主党が、同党憲法調査会による、憲法改正草案づくりのための「憲法改正に向けた論点整理」を発表しました。

この「論点整理」を元に「『移動憲法調査会』のようなものを設けて全国で国民の声を直接うかがい、それを踏まえた最終的な憲法改正草案」に仕上げるとのことです。

私は、国民民主党だから、〇〇党だから、特に応援するというつもりは、今のところありませんが、この憲法改正の手法、改正案には、見るべきものがあると、考えます。

「憲法改正に向けた論点整理」を行い、全国の国民の声を「直接」聞いて、憲法改正草案を仕上げるという試みは、民主主義を育てる健全な手法で、とても良いことだと思います。


以下は、産経新聞デジタル版に掲載された記事です。
https://www.sankei.com/politics/news/201207/plt2012070037-n1.html

☆☆☆

”国民民主党は7日、憲法改正をめぐる現時点での党内議論を集約し、「憲法改正に向けた論点整理」として発表した。デジタル時代に即した人権保障規定の追加や同性婚を保障するための条文改定のほか、憲法9条改正の一案として、制約された限度での自衛権の行使や自衛隊の保持の明文化を提示した。同党は論点整理を基に、改憲草案づくりを進める。”

“ 憲法9条をめぐっては、自衛権行使の範囲や自衛隊の保持・統制のルールを規定する必要性に触れつつ、(1)9条2項を改定し、制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊の保持を明記する(2)9条1、2項を維持した上で、制約された戦力、交戦権の行使を認める例外規定の設置-の2つの条文イメージを列記した。”

“玉木雄一郎代表は7日の記者会見で「『移動憲法調査会』のようなものを設けて全国で国民の声を直接うかがい、それを踏まえた最終的な憲法改正草案に仕上げていきたい」と述べた。” 

https://www.sankei.com/politics/news/201207/plt2012070037-n1.html

☆☆☆

第9条についての改正案は(1)、(2)の2つの条文案があるとのことです。

(1) 9条2項を改定し、制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊の保持を明記する

(2)9条1、2項を維持した上で、制約された戦力、交戦権の行使を認める例外規定の設置

☆☆

〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕

《㋐案》
① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦
争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に
これを放棄する。 【現行 9 条 1 項のまま】
② 前項の目的を達するため、Ⓐ又はⒸの範囲内の武力行使に限り、これを行うことが できる。また、当該武力行使のための必要最小限度の実力組織に限り、これを保持す ることができる。

※ 下線部分は改正部分

《㋑案》
① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦
争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に
これを放棄する。 【現行の 9 条 1 項のまま】
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦
権は、これを認めない。 【現行の 9 条 2 項のまま】
前二項の規定にかかわらず、Ⓐ又はⒸの範囲内に限り、武力行使を行うことができ る。 ④ 第二項の規定にかかわらず、前項の武力行使のための必要最小限度の戦力を保持 することができ、また、当該武力行使に必要な限度内において交戦権の行使に当たる 措置をとることができる。
※ 下線部分は改正部分

(国民民主党のHPから転載)
https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2020/12/a496a30ca55082bede1b85480540c5f4.pdf

☆☆

「自衛隊の文字を加えるだけで良い」という自民党案より、考え方が整理されていて、現実的な内容だと思います。

また、憲法裁判所を設置して、憲法違反を事前に審査することも、重要です。今の憲法では、実行された各施策が違憲かどうかについて、事後審査しかできないためです。

全体的に、よく考えられた、憲法改正草案づくりの「論点整理」だと思います。


神道学者の高森明勅氏も、国民民主党の憲法改正の動きについて、ご自身のブログに取り上げておられます。

https://www.a-takamori.com/post/201209

種を明かせば私は、高森氏のブログを通じて、産経新聞の記事を知りました。

☆☆☆

“12月7日、国民民主党が同党の憲法調査会(山尾志桜里会長)での討議を踏まえ、「憲法改正に向けた論点整理」を公表した。
野党が憲法全体に亘(わた)る改正構想を、責任ある形で提案したのは、画期的な出来事だろう。
その主なポイントは以下の通り(産経新聞12月8日付による)。
〔1〕人権保障(サイバー空間での個人の尊重。同性婚の保障)
〔2〕地方自治(住民自治・団体自治の明記。地方自治体の「課税自主権」の明記)
〔3〕9条(制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊保持の明記)
〔4〕検討すべき課題(安定的な皇位継承。緊急事態条項の制度化)”


“しばしばタブー視されがちな緊急事態条項も、決して誤魔化さず、検討すべき論点に盛り込んでいるのは注目に値する。
更に、皇位の安定継承についても、検討事項にしっかりと組み込んでいて、有難い。
但し、これについては、恐らく憲法それ自体の改正は、特に必要ないだろう。
憲法に「皇位は世襲」(2条)とあるのを前提に、皇室典範で継承資格を「男系の男子」(1条)に限定している、時代錯誤的な規定を改正すれば、それで解決する。
同党は「移動憲法調査会」のような形で、全国で国民の声を直接、聴く機会を設けたい、としている。
すこぶる意欲的だ。
それが実現したら、各地の有志はどうか積極的に参加されることを願う。
戦後日本にとって、最大の政治課題だった「憲法改正」。
このテーマが、野党サイドからの大胆な提起により、いよいよ新しい局面を迎えようとしている。
私ら国民は、責任感と主体性を持って、この世紀の大事業を“自ら”担おうではないか。”

https://www.a-takamori.com/post/201209

☆☆☆

国民民主党が提示したような、憲法改正に向けた論点整理を行い、国民の声を聞いて憲法草案を仕上げるという地道な試みが、現実に即した憲法改正につながるように思います。

また、皇位の安定的継承について、高森明勅氏によれば、憲法改正は必要ないそうですが、全国の国民の検討すべき課題として、同時に取り上げて各地で国民の声を聞いていただけることは、たいへんありがたいことです。

国民民主党のこれからの憲法改正に向けた活動に、期待いたします。

『移動憲法調査会』が近くで実施されたら、ぜひ参加したいです!

今日も読んでいただき、有難うございました。
今日が生き生きした日でありますようお祈り申し上げます。

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