SSブログ

天皇の御歌(16)-第41代 持統天皇 [持統天皇]

DSC_0321blog白い小花.JPG


今日は持統天皇の御歌(おうた)を読みます。持統天皇の御歌は2回目です

昨日の朝は、なぜか夢の中に、「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」という言葉が目の前にチラチラして、調べたらこういうことでした。

☆☆

“天武天皇がまとめようとしていた古代国家の基本法典である「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」が施行されたのも、この年(689年)だった。”

(高森明勅著『歴史で読み解く女性天皇』P154 ベスト新書)

☆☆


「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」について、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)には、以下のように説明されています。


☆☆
“飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)は、日本の飛鳥時代後期に制定された体系的な法典。令22巻。律令のうち令のみが制定・施行されたものである。日本史上、最初の体系的な律令法と考えられているが、現存しておらず、詳細は不明な部分が多い。”
(「飛鳥浄御原令 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9B%E9%B3%A5%E6%B5%84%E5%BE%A1%E5%8E%9F%E4%BB%A4

☆☆


どうやら、寝る前に読んだ高森明勅氏の本の影響で、689年には飛鳥浄御原律令が施行されという言葉が、寝ている間、頭脳の中で、リフレインを繰り返していたようです。


なお、「律令」というのは、律は刑法、令はそれ以外(主に行政法。その他訴訟法や民事法も。)に相当するとのこと、刑法よりも、行政法が先に制定されたのですね。


飛鳥浄御原令は、この後、大宝律令、養老律令と変化して、最後の養老律令は、廃止法令は特に出されず、形式的には明治維新期まで存続したとのことです。その息の長さにおどろきました。

日本は、平安時代から、明治時代に至るまで養老律令を存続させたように、法律を長く持ち続ける国柄があるのでしょうか。

私の唐突な思いつきですが、現代でも日本国憲法がなかなか改正されないのは、こんな先祖伝来の習慣があって、そういう体質の国なのかと、ふと思いました。


今日の御歌は、天武天皇が崩御(ご逝去)されたときに詠われた御歌です。ちょっと寂しいけれど、肉親との別れは、誰にでもいずれ訪れることですね。


☆☆☆

一書に曰(い)はく、天皇(すめらみこと)崩(かむあが)りましし時の大上天皇(おおきすめらみこと)の大御歌(おほみうた)二首(*持統天皇は御譲位の後、大上天皇の称号でお称び申し上げた)


燃ゆる火も 取りて裹(つつ)みて 袋には 入ると言はずや 面(おも)知らなくも

北山に たなびく雲の 青雲の 星離(さか)り行き 月を離(さか)りて

(以上、萬葉集、巻第二)

(p49)

(小田村寅二郎 小柳陽太郎 編著 『歴代天皇の御歌 ― 初代から今上陛下まで二千首 - 』 日本教文社 昭和52年8月15日 第5版)

☆☆☆


御歌の今日の解説は、山口悌治著『万葉の世界と精神 前篇』から、お借りします。


☆☆☆

“燃ゆる火も、取って包んで紙の袋の中に入れることができるといふではないか。そんな奇蹟すらも行はれるのに、どうして、神去りましたわが大君に再びお会ひできる道を、知ってゐると言ってくれないのか”

“北の山のあたりにたなびいてゐる雲、その青雲が、いつか北の山を離れ、星を離れ、月を離れて遠ざかって行く。そのやうに、あなた様がだんだん遠く、いよいよ遠く離れて行っておしまひになる。ああ、どうすることもできないのであらうか“

(山口悌治著『万葉の世界と精神 前篇』p276 日本教文社)

☆☆☆


1首めは、燃える火を紙の袋の中に入れることができるという伝承が、当時あったのでしょうか。今は聞きませんね。

もう会うことのできない天武天皇に、もう一度でもお会いできるすべはないものだろうかという、切ないお悲しみが伝わって参ります。


2首めは、北山という地名が吉野にあるので、もしかしたら、持統天皇は、その北山のあたりを見つめながら、壬申の乱の前に、天武天皇とご一緒に、ひっそりと過ごされた吉野山中での日々を、思い出されていたのではないかと拝察いたします。

その北山から、天武天皇の魂であるかのような青雲が、星(皇子孫、重臣たち)を離れ、月(持統天皇))を離れて、いよいよ遠ざかって行かれる、そのような思いを詠われたと存じます。天空にとどまる山、星、月と、流れて遠く消えていく青雲のはかなさ、美しさが心に残ります。

星が皇子、皇女、皇孫、重臣で、月が持統天皇、というのは私の勝手な解釈ですが、そういう感じがいたします。


今日も読んでいただき有難うございました。

皆様にとって、穏やかな一日でありますようお祈り申し上げます。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。