天皇の御歌(7)-第117代 後桜町天皇 [後桜町天皇]
今日も後桜町天皇の御歌(おうた)を詠ませていただきます。
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“迎春祝(明和七年 ― 一七七〇 ― 御年三十一歳)(註・この年の十二月御譲位)
諸人も ひとつこころに 祝ふ代の ゆたけさ見えて 春ぞたのしき(御会始)“
(p297)
“禁中月(明和七年 ― 一七七〇 ― 御年三十一歳)
いつとなく 十年にちかき 秋もへて 思はずなるゝ 雲の上の月“
(p297)
“蟲吟露(安永六年 ― 一七七七 ― 御年三十八歳)
“百草の 露をよすがに 蟲ぞ鳴く おのがさまざま こゑをつくして
(御廟御法楽)
(p297)
(小田村寅二郎 小柳陽太郎 編著 『歴代天皇の御歌 ― 初代から今上陛下まで二千首 - 』 日本教文社 昭和52年8月15日 第5版)
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第1首め、第2首めは、先帝 桃園天皇の第一皇子が十三歳になられたので、御位を譲られた年に詠まれた御歌です。
めでたくご成長された第一皇子(後桃園天皇)が御位につかれる新しい年を祝うお気持ちを詠まれていることと拝察申し上げます。
2首めの、「雲の上の月」は、天皇の御位をあらわされているのでしょうか。思わずに御位につかれて十年ちかく、秋をむかえて、過ぎてきた月日を思う御歌のように思われます。
3首めは、それから7年後、草むらで一心に鳴く、種々の蟲の声に耳を傾けておられます。小さい虫たちへのお優しい愛情が感じられます。
今日も読んでいただき、有難うございました。
今日が皆様にとって、希望に満ちた一日でありますように。
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