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安倍首相の改憲案よりも、優れた改憲案があると思います [憲法]

安倍総裁が三選されましたが、政治にはいろいろな問題が山積みです。

一方では、平成の御代となり、今上陛下の被災地ご訪問などの尊いご努力により、天皇陛下、御皇室に心を寄せる国民のパーセンテージ(割合)が増しているのは心強く、有難く存じます。

さて、憲法改正についてですが、私は安倍首相の案よりも、また九条に手を付けないで護るよりも、もっと日本の平和を守れる方向の改正案があると思っています。


憲法第九条に関する安倍首相の改憲案の内容は、2017年5月3日の首相メッセージにおいて、以下のように発表されています。

(以下引用)

「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」(引用終り)

(日本経済新聞 憲法改正に関する首相メッセージ全文 2017/5/3 15:19)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK03H16_T00C17A5000000/



私は安倍首相の「自衛隊を憲法に明文で書き込む」だけの改憲は不十分であるばかりでなく、日本の自衛隊の対アメリカ従属体制を強化する「憲法改悪」になりかねないと懸念しています。


私は、憲法9条の改正について、現在見聞きしている範囲では、以下の考え方を支持しています。



(以下引用)
「立憲的改憲」九条論

 「立憲的改憲」における九条論は、「自衛隊の明記」ではなく、「自衛権の統制」をその本質としています。
 具体的には、自衛隊の範囲を個別的自衛権に明文で制限し、その範囲において「戦力」であり、「交戦権」の主体であることを認める。それにより、二項との矛盾を解消し、立憲主義と平和主義を貫徹しようとするものです。(引用終り)

 (小林よしのり、井上達夫、山尾志桜里、駒村圭吾、曽我部真裕 著 (2018)「ゴー宣〈憲法〉道場 Ⅰ 白帯」p19 毎日新聞出版)


 憲法の条文に「自衛隊を明記する」のではなく、既存の「自衛権を統制する」という、現実に即した考え方です。


 統制する範囲は、武力行使の「旧三要件」の範囲です。


(以下引用)

(旧三要件)

・我が国に対する急迫不正の侵害がある
・これを排除するために他の適当な手段がないこと
・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと(引用終り)

(小林よしのり、井上達夫、山尾志桜里、駒村圭吾、曽我部真裕 著 (2018)「ゴー宣〈憲法〉道場 Ⅰ 白帯」p20 毎日新聞出版)
 
 
「旧三要件」は、ウィキペデアの「武力の行使の『新三要件』」にも掲載されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%8A%9B%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BD%BF%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%96%B0%E4%B8%89%E8%A6%81%E4%BB%B6%E3%80%8D

憲法第9条について、解釈改憲がなされて来たのは、国際的に軍隊を持たないわけには行かないという日本の現実を見て、歴代の日本政府が努力検討を積み重ねた結果でした。その現実を明文化します。これによって、第九条がより現実に即した文言になります。

ただし、集団的自衛権ありきで変更された新三要件より一段階前で明文化することによって、これ以上の政権の暴走、解釈の拡大を止めます。



さらに、「日米地位協定の正常化」も大切であると、同書には書かれています。


(以下引用)

「立憲的改憲」に欠かせないもう一つのピースが、日米地位協定の正常化です。
国民の意思で国家権力を統制しても、その国家権力が他国の意思に左右される状態では、統制は効きません。
 原発問題や基地問題など、わが国の根幹をなすエネルギー政策や安全保障政策が岐路に立つたびに、必ず現れる「アメリカ」というプレーヤー。
 この「アメリカ」との関係を正常化していく第一歩が、日米地位協定の正常化です。(引用終り)

(小林よしのり、井上達夫、山尾志桜里、駒村圭吾、曽我部真裕 著 (2018)「ゴー宣〈憲法〉道場 Ⅰ 白帯」p21 毎日新聞出版)


安倍首相の改憲案のように、今のアメリカ依存型の日本国の武力行使のあり方をそのままにして、自衛隊を憲法に明記したら、どうなるでしょうか。

イラク戦争の時に、アメリカが「戦争する」といったら、無条件で「show the flag」旗幟を鮮明にする=アメリカ支持を表明して来た日本は、今後「○○国と戦争する」とアメリカが宣言した時に、アメリカのいいなりに、日本の防衛と全く関係のない国との、大義も感じられない戦争に自衛隊を派遣することになりかねません。


「『立憲的改憲』九条論」の考え方で改正したときは、どうなるでしょうか。

「自衛権の統制」を憲法に明記することと日米地位協定の正常化によって、「日本が戦争したくない」、自国が侵略を受けていないし、大義も感じられない戦争に参戦しないことを、表明できる道筋を開きます。

(「我が国に対する急迫不正の侵害がある」場合の「武力の行使」を妨げるものでないことは言うまでもありません。)


分かりやすく言えば、自国が侵略を受けた時は祖国防衛のために立ち上がり、必要最小限の実力行使を行う、しかし、自国が侵略を受けていないし大義も感じられない他国の戦争には、参戦しないことを決定できる主体性を持った日本になる、日本の「自主独立」を目的とする改憲です。


「憲法改正」は重要ではありますが、「日本の自主独立」ための「手段」であってこそ、その改正が生きてきます。

従って、日本の自主独立など必要ない、アメリカ従属体制を強化する結果になっても、憲法の文言を少しでも変えることができればそれでよいという、安倍首相の案に対して、私は賛成しかねます。

日本の自主独立、アメリカとの同盟関係を今のように不平等なものではなく対等の友人としての同盟にすることが必要であるとも考えます。


その方向に向けての憲法改正を微力ながら、一国民として真剣に考えて参りたいと思います。


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