天皇の御歌(50)―第108代・後水尾天皇(4) [後水尾天皇(明正天皇)]
今日は、第108代・後水尾(ごみづのを)天皇の御歌について学びます。4回目です。
御在世:1596~1680(崩御・85歳)
御在位:1611~1629(16歳~34歳)
です。(1617年まで、御父・後陽成天皇の院政)
御水尾天皇の院政は1629~1680年(34歳~85歳)の51年間
御父君、第107代・後陽成院崩御の時の「題知らず」の御歌です。
なお、後水尾天皇の生母は、大河ドラマ「麒麟がくる」に登場する、関白・近衞前久の娘の近衞前子で、後陽成天皇の女御として入内しています。そのことを、ちょっと念頭において、ドラマを鑑賞したいと思います。
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“後陽成院崩御、御いたみの御歌八首の次に、「又」として載せたる「題不知」御製十四首の中に(同右(元和三年ー一六一七ー御年二十二歳))
夕暮は いとどさびしき いろそへて 風にみだるゝ 庭のもみぢ葉
もみぢ葉を さそひつくして 吹く音は 木々にさびしき 夕嵐かな
かきくれぬ わかれし 今朝の面影の 立ちはなれぬも 落つる涙に
みちしばの 露の玉の緒 消えねたゞ 今朝のわかれに 何残るらむ
散りしくを また吹きたてて 夕風の 紅葉を庭に のこさぬもうし“
(pp232)
(小田村寅二郎 小柳陽太郎編著『歴代天皇の御歌―初代から今上陛下まで二千首―』日本教文社 昭和52年8月15日 第5版)
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コトバの意味
いとど:ますますはなはだしい
夕嵐(ゆふあらし):夕方に吹く強風
かきくれぬ(掻き暮れぬ):「かきくれる」は心が暗くなる。悲しみに沈む。
みちしばの(道芝の):道ばたに生えている芝草。また、 雑草
玉の緒:生命、いのち
うし(憂し):つらい。苦しい
1首目。夕暮は、ますますさびしい色彩を帯びて、庭に散り敷いた紅葉の葉が、風に乱れている
2首目。紅葉の葉を、持ち運ぶ強い夕風の音が、木々にさびしく、吹き渡っていく
3首目。悲しみに沈んで別れた、今朝の父君の面影が、心から去らずに、涙となって落ちて行く
4首目。道端の芝の露のようにはかない生命よ、ただ消えないでおくれ、(父君との)今朝の別れに何が残るだろうか
5首目。庭に散り敷いた紅葉の葉を、夕風がまた吹きたてて、残さず飛ばしてしまうのを見るにつけても、別れをつらく思う
母君、近衛前子(後陽成の女御の中和門院)は、豊臣秀吉の「猶子」とのことです。
また、羽柴秀吉は、天正13年(1585年)、近衛前久の「猶子」となっています。
「猶子(ゆうし)」という言葉がよく出て来ます。「養子」に似ていますが、現代と、平安時代・戦国~江戸時代の使い方とは、意味合いが色々と違っているようです。ややこしいので、時間をかけて、丁寧に学んで行きたいと思います。
今日も読んでいただき有難うございました。
今日は良く晴れて気持ちの良い日でした。皆様、どうぞお健やかにお過ごしください。
2020-10-25 16:30
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