SSブログ

天皇の御歌(50)―第108代・後水尾天皇(4) [後水尾天皇(明正天皇)]

DSC_0781モモコスモス20201025blog.JPG
今日は、第108代・後水尾(ごみづのを)天皇の御歌について学びます。4回目です。
御在世:1596~1680(崩御・85歳)
御在位:1611~1629(16歳~34歳)
です。(1617年まで、御父・後陽成天皇の院政)
御水尾天皇の院政は1629~1680年(34歳~85歳)の51年間

御父君、第107代・後陽成院崩御の時の「題知らず」の御歌です。

なお、後水尾天皇の生母は、大河ドラマ「麒麟がくる」に登場する、関白・近衞前久の娘の近衞前子で、後陽成天皇の女御として入内しています。そのことを、ちょっと念頭において、ドラマを鑑賞したいと思います。

☆☆☆

“後陽成院崩御、御いたみの御歌八首の次に、「又」として載せたる「題不知」御製十四首の中に(同右(元和三年ー一六一七ー御年二十二歳))

夕暮は いとどさびしき いろそへて 風にみだるゝ 庭のもみぢ葉

もみぢ葉を さそひつくして 吹く音は 木々にさびしき 夕嵐かな

かきくれぬ わかれし 今朝の面影の 立ちはなれぬも 落つる涙に

みちしばの 露の玉の緒 消えねたゞ 今朝のわかれに 何残るらむ

散りしくを また吹きたてて 夕風の 紅葉を庭に のこさぬもうし“

(pp232)

(小田村寅二郎 小柳陽太郎編著『歴代天皇の御歌―初代から今上陛下まで二千首―』日本教文社 昭和52年8月15日 第5版)

☆☆☆

コトバの意味

いとど:ますますはなはだしい

夕嵐(ゆふあらし):夕方に吹く強風

かきくれぬ(掻き暮れぬ):「かきくれる」は心が暗くなる。悲しみに沈む。

みちしばの(道芝の):道ばたに生えている芝草。また、 雑草

玉の緒:生命、いのち

うし(憂し):つらい。苦しい


1首目。夕暮は、ますますさびしい色彩を帯びて、庭に散り敷いた紅葉の葉が、風に乱れている

2首目。紅葉の葉を、持ち運ぶ強い夕風の音が、木々にさびしく、吹き渡っていく

3首目。悲しみに沈んで別れた、今朝の父君の面影が、心から去らずに、涙となって落ちて行く

4首目。道端の芝の露のようにはかない生命よ、ただ消えないでおくれ、(父君との)今朝の別れに何が残るだろうか

5首目。庭に散り敷いた紅葉の葉を、夕風がまた吹きたてて、残さず飛ばしてしまうのを見るにつけても、別れをつらく思う

母君、近衛前子(後陽成の女御の中和門院)は、豊臣秀吉の「猶子」とのことです。
また、羽柴秀吉は、天正13年(1585年)、近衛前久の「猶子」となっています。

「猶子(ゆうし)」という言葉がよく出て来ます。「養子」に似ていますが、現代と、平安時代・戦国~江戸時代の使い方とは、意味合いが色々と違っているようです。ややこしいので、時間をかけて、丁寧に学んで行きたいと思います。


今日も読んでいただき有難うございました。

今日は良く晴れて気持ちの良い日でした。皆様、どうぞお健やかにお過ごしください。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。