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天皇の御歌(27)―第35代皇極天皇・第37代斉明天皇 [皇極天皇・斉明天皇]

DSC_0492黄小花blog.JPG3回目になりますが、
第35代・皇極天皇・
重祚して
第37代・斉明天皇の
御歌を学びます。
御在世:594~661(崩御68歳)、
御在位642~645年(49歳~52歳)
重祚して
御在位655~661年(62歳~68歳)

☆☆☆

“岡本天皇(おかもとのすめらみこと)(註・皇極―斉明―天皇のことであるが、夫君であられた舒明天皇といふ説もある)の御製(おほみうた)一首 荓(ならび)に短歌

神代より あれ繼ぎ來れば 人多(ひとさは)に 國には滿ちて あぢ群(むら)の 去來(かよひ)は行けど わが戀ふる 君にしあらねば 晝は 日の暮るるまで 夜は夜の明くる極(きは)み 思ひつつ 眠(い)も寝(ね)がてにと 明かしつらくも 長きこの夜を

反歌

山の端(は)にあぢ群騒き行くなれどわれはさぶしゑ君にしあらねば
淡海路(あふみぢ)の烏龍(とこ)の山なる不知哉川(いさやがは)日のころごろは戀ひつつもあらむ (以上、萬葉集、巻第四)“
(p42)

(小田村寅二郎 小柳陽太郎編著 『歴代天皇の御歌―初代から今上陛下まで二千首―』 日本教文社 昭和52年8月15日 第5版)

☆☆☆

あぢ群(あぢむら):アジガモ(トモエガモ)の群れ
トモエガモは、写真を見ると、オシドリのような頭をしたきれいなカモです。


長歌:
神代より代々次いで来た、多くの人が満ちている国に、アジガモの群れが空を行き来してのどかな風景であるけれども、そこに私の恋うる貴方様がいらっしゃらないので、昼は日の暮れるまで、夜は夜の明ける直前まで、貴方様のことを思って、眠ることができずに、明けてしまいました、この長い夜が。

短歌

山の端にアジガモの群れが鳴きながらにぎやかに飛んでいきますが、そこに貴方様がいらっしゃらないので私は寂しいです。


滋賀県彦根市の大堀山は、昔は「鳥籠山(とこやま)」と呼ばれ、壬申の乱で、大海軍と朝廷軍がこの辺りで戦ったのが「鳥籠山の戦い」とのこと。不知哉川(いさやがは)は、鳥籠山の横を流れていた川です。いさや、いざやという掛詞になっていて「さあどうなのか」という意味になるとのことです。

淡海に通う道の鳥籠山(とこやま)の横に流れる不知哉川(いさやがは)に「さあどうなのか」と問われれば、日頃もあなた様を恋い慕いつつ過ごしましょうか。

彦根駅には、この歌の歌碑があるそうです。

☆☆

“平成21年(2009年)12月に彦根駅東口に設置した石碑には、その歌の意味として「淡海路の鳥籠の山を流れる不知哉川の名のように、さあどうなのでしょう。この日頃もあなたを恋い慕いつつ過ごしていましょうか」とある。”
(『滋賀彦根新聞』2019年5月6日)
http://shigahikone.blogspot.com/2019/05/blog-post_6.html

☆☆

彦根駅にそのような歌碑があるとは知りませんでした。パソコンでバーチャルな旅行ができて楽しいです。


皇極天皇が即位した年(642年)は6月から日照りが続き、農業に必要な水が涸れて人々は困り果てていました。村々の神職が祈っても、蘇我蝦夷の勧めで、百済大寺で多くの僧に『大雲経』を読ませたけれども、翌日小雨がパラパラ降っただけでした。

こうして、天皇自身が、飛鳥川の上流に出向き、四方を拝して、天を仰いで雨を祈ったところ、たちまち雷が鳴り、大雨が降り始め、そのまま5日間降り続けて農作物の危機は救われました。これによって人々は皇極天皇を称賛して「至徳(いきおい)まします天皇(すめらみこと)」と呼んだと言います。

天皇の祈り(言葉)の力は、天候も味方するといいますが、「至徳の天皇」と称賛の記録が残っているのは、それを信じた民の素直な心の表れですね。民とともにある天皇の祈りに、天が味方したのでしょう。

今日も読んでいただき有難うございました。

少しずつ涼しくなりましたが、今日も一雨降ってほしいです。

皆様にとって良い一日でありますように。

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