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竹田恒泰氏はなぜ女系天皇に反対するのか(2) [皇室典範改正]

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*ミョウガの花が咲きました。ミョウガの味は落ちますが、花は可憐です*




一昨日の、竹田恒泰氏の文章について、続きです。



男系派のTさんとのやりとりで、私は

「天皇陛下、上皇陛下が『女系容認』だとしても、男系派は、断固反対するつもりなのですか。」

と質問しました。


それに対する答えとして、Tさんが引用して来たのが、竹田恒泰氏の次の文章でした。


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■皇位継承問題と大御心
 よく「大御心(おおみごころ/天皇の意思)」という言葉が間違って使われているが、大御心とは皇祖皇宗の遺訓に他ならず、今上天皇の個人的な意思のことではない。
 葦津珍彦先生は「天皇の地位が世襲的なものである以上、天皇の意思と云ふのも世襲的なものでなければ意味をなさない」と仰った。また先生によると、大御心は天皇の個人の意思よりも、遥かに高い所にあり、また大御心とはすなわち日本民族の一般意思であって、時代によって変化する民衆の多数意思よりも貴いという。
 したがって、もし天皇がそのような大御心に反する事を仰せになったなら、これは「聞いてはいけない」ということになる。幕末に孝明天皇から第二次征長戦争の勅許が降りた時、大久保利通が西郷隆盛に宛てた書簡には「非義の勅命は勅命に非ず」と書かれていたことはよく知られている。本来勅命は天下万民が承知してこそ勅命なのであり、この勅命には大義が無いから勅命とは言えないので、自分はこれに従わないというのだ。
 もし天皇の個人的な御意思と大御心が食い違った場合には、当然大御心を優先させなくてはならないのである。

(「第5回 皇位継承問題と大御心」北海道神宮ホームページ)
http://www.hokkaidojingu.or.jp/sizume/column/takeda5.html
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Tさんいわく、天皇の御心が歴代天皇の大御心と異なっていれば、それを否定しても良いとのことです。

大久保利通が西郷隆盛に宛てた書簡に「非議の勅命は勅命に非ず」とあったそうですが、この件は前後の事情を吟味しなければならないので、ここではコメントいたしません。


『「大御心(おおみごころ/天皇の意思)」という言葉が間違って使われているが、大御心とは皇祖皇宗の遺訓に他ならず、今上天皇の個人的な意思のことではない。』と竹田氏は述べています。

「大御心」と言えば、今上天皇の御心のことで、間違いないと思うのですが、今上天皇の個人的意思のことではないというのは、何を言わんとしているのかと、考えました。


それは、私も人生百般の出来事すべてに関して「今上天皇の個人的意思」が絶対的に正しく、日本国民が何もかも細部に至るまで天皇のおっしゃるとおりにしなければならないとは考えておりません。

大久保の話だけでなく、臣下の立場で天皇の勅許に従えなかったという例は、歴史の中にも数多くあると思います。専制君主でない天皇はそういうことを許容されて来たこともあったでしょう。

しかし今話題になっている「皇統継承」という重大事について、

「臣下の我々男系派の方が、歴代天皇の大御心に通じている、歴代天皇の大御心は『男系固執で女系絶対反対である』」

という主張は見当違いであり、全く肯定できません。

国政の諸問題、国際情勢への対処など外部的なこと、世俗のことについては、現場の人間である大臣や実務者の方が、天皇よりもよく分かっているということもあるでしょう。

そのような場合、天皇は臣下を信頼されて、その意見を採用されます。

昭和天皇の昭和41年歌会始お題「声」の時の御製でもこのことを詠っていらっしゃいます。


☆☆☆

御製(昭和天皇)

日日のこのわがゆく道を正さむとかくれたる人の声をもとむる

https://www.kunaicho.go.jp/culture/utakai/utakai-s41.html

☆☆☆

天皇ご自身が、かくれたる人の声をもとめられ、日々のわがゆく道を正そうとなさった、それが日本の天皇でいらっしゃいます。決して独断専行ではありません。

しかし他ならぬ、天皇ご自身の跡継ぎの決め方について、当事者であられる天皇よりも臣下の判断が正しいなどと言うことがあり得るでしょうか。皇位継承について、最も真剣に考えられ、歴代天皇のお心を熟知していらっしゃるのが、天皇であることは、疑う余地がありません。

竹田氏と彼の信奉者である男系派の「女系天皇断固反対」が「皇祖皇宗の遺訓」であり、「歴代天皇の大御心」であるというのは、実体のない虚構であり、幻想だと思います。

あえて申せば、明治の旧皇室典範制定までは、皇統継承は「男子優先だが男子限定ではない、女子容認」が長年続いた、ということはいえると思います。それが明治22年の旧典範制定の時に「男系男子限定」に、せばめられてしまいました。

明治天皇のお考えでは「女系容認」、「譲位」、「永世皇族制廃止」を旧典範に入れるご希望であったという記録が残されています。そのような明治天皇、大正天皇、昭和天皇、上皇さまの一貫したお気持ちがあって、今日に至っているのだと思います。男系派は、この4方を歴代天皇ではないというつもりでしょうか。

小泉政権の有識者会議での検討以来、15年以上も憲法の制約を受けて直接ご発言できない中で、何回も「女系天皇」の検討、「女性宮家の創設」が話題に上っています。天皇(現在の上皇)の御内意でなくて、何回も「女系天皇」の提案が蒸し返されることがあるでしょうか。

もはや「女系天皇容認」を含めた「安定的な皇位継承」が、天皇のお気持ちにかなうことは、誰の眼にも明らかです。

竹田氏は、女性宮家創設=女系天皇論であるとして、女性宮家創設に断固反対を唱えています。女性宮家創設案を潰すために、初代女性宮家の可能性を持つ眞子さまのお相手になられる小室圭さんを散々おとしめるという策略を駆使してきました。


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■女性宮家は形を変えた女系天皇論
 ところが、皇族を確保するために、如何なる手段を講じてもよい訳ではない。女性宮家創設とは、すなわち女性皇族が民間から婿を取ることを意味する。もしこれが現実のものとなれば、皇室の歴史上、初めて民間出身の男性が皇族の身分を取得することになる。そして、その子や孫が将来の天皇となった場合、男系継承の原則が崩され、初の女系天皇が誕生することになる。
女性宮家創設というのは一般人の耳に優しく響くだろう。しかし、女系天皇を容認する国民的合意なくして、女性宮家について論じるのは適切ではない。女系天皇論者は、悠仁親王殿下ご誕生で女系天皇論が進められなくなっていたところ、最近になってこれまでと違った形で攻勢を仕掛けてきたのである。これは、天皇陛下の御体調を慮る国民の感情を巧みに利用したものであり、女性宮家創設の皮をかぶった女系天皇論にほかならず、「禁じ手」というべきである。

(『第11回 女性宮家創設は「禁じ手」』北海道神宮ホームページ)
http://www.hokkaidojingu.or.jp/sizume/column/takeda11.html
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この発言の中で、1点だけ同意できるのは、以下の一文です。

「女系天皇を容認する国民的合意なくして、女性宮家について論じるのは適切ではない。」

裏を返せば、「女系天皇を容認する国民的合意があれば、女性宮家も論じることが出来る、実現できる」ということになります。

わたしたち一人一人が「女系天皇を容認する国民的合意」を固めて、もっともっと積極的に表現することが求められています。

「皇室の歴史上、初めて民間出身の男性が皇族の身分を取得することになる。そして、その子や孫が将来の天皇となった場合、男系継承の原則が崩され、初の女系天皇が誕生することになる。」と竹田氏は危惧しています。

民間出身の女性がこれまで3方(美智子さま、紀子さま、雅子さま)皇室に入られました。それによって皇室と国民は、良い意味で一体感が強まりました。皇室は庶民を理解され、国民と共に歩まれる皇室のあり方が、いっそう幅広く豊かになられたと思います。今後、民間出身の男性が皇室に入られれば、良い意味で、皇室と国民が共に歩む国づくりに貢献していただけると思います。民間出身の男性の皇室入りを、なぜそれほど拒否するのかが、理解できません。

しかし、竹田氏の「女系天皇」反対の根拠は、実は極めて薄弱です。色々理屈をつけますが、何と最後には「もはや理由などどうでもよい」と言い放ちます。


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■もはや理由などどうでもよい
 「天皇の皇位がなぜ男系によって継承されてきたか」。これに答えるのは容易ではない。そもそも、人々の経験と英知に基づいて成長してきたものは、その存在理由を言語で説明することはできない。なぜなら、特定の理論に基づいて成立したのではないからだ。天皇そのものが理屈で説明できないように、その血統の原理も理屈で説明することはできないのである。
 だが、理論よりも前に、存在する事実がある。男系継承の原理は古から変更されることなく、現在まで貫徹されてきた。これを重く捉えなくてはいけない。例えば、現存する世界最古の木造建築である法隆寺は、その学問的価値の内容にかかわらず、最古故にこれを簡単に立て替えてはいけない。同様に、天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これを断絶させることはできない。
 もはや理由などどうでもよいのである。特定の目的のために作られたものよりも、深く、複雑な存在理由が秘められていると考えなくてはいけない。

(「第3回 なぜ男系継承でなくてはならないか」北海道神宮ホームページ)
http://www.hokkaidojingu.or.jp/sizume/column/takeda3.html

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竹田氏は、男系継承の原理を法隆寺に例えています。しかし法隆寺はどれほど価値があっても、一建築物であり、男系継承と比較するのは、何か違う気がします。形が価値である伝統と、生きている伝統との違いです。

「天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これを断絶させることはできない。」

竹田恒泰氏の考え方はもっともなように聞こえますが、その背景となる同氏の考え方には、何か大切なものが欠けている気がします。

竹田氏は、「血の一滴」へのこだわり「家格」、「男系の血筋」に並々ならぬ、異常なまでに、価値を認めています。

テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演した時、論議が激しくなったところで、対談者に向かって、

「私とあなたは血筋が違う!」

竹田氏が叫んだのを見て、ギョっとしました。

元皇族の子孫が、そのようなことを公の場で叫ぶことに、驚きました。竹田氏の「人柄の卑しさ」しか感じませんでした。心でそう思っても(思うこと自体が謹み深い人なら恥ずかしいことですが)、それを口に出したら人間性が疑われます。裏を返せば「下賤の生まれのお前が何を言うか!」と、相手を見下げていることになります。

仮に皇族がそのようなことを発言されたとしたら、人々の皇室への尊敬は一気にさめてしまうでしょう。そのような精神は、「一視同仁」の皇室の精神の対極にあります。


竹田氏は、小室圭さんについて、次のように評しているとのことです。

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「皇室とは公的な存在であり、関係を持とうとする人には一定の品格が求められます。残念ながら、小室さんはその基準を満たしていないように思えます。」(p169)

(矢部真紀子『雅子さまの笑顔』幻冬舎新書)
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私に言わせれば宮家の血筋を誇る竹田恒泰氏の方が、皇室を語る「一定の品格」を欠いているとしか思えません。竹田氏のいう「品格」は、小室さんの「血筋」が庶民であることが気に食わないというのを、言葉を変えただけではないでしょうか。

男系派と話をしていると「家格」とか「血筋」とか、外国人を軽蔑するとか、およそ皇室の精神と対極にある差別感情を平気で吐露する人が多いです。男系派の多くは、レイシスト(差別主義者)ではないかと思うときがありますが、竹田氏の口調にも、同じものが感じられます。

小室圭さんのことは、婚約内定の会見を見て、発表された文書を読んだだけですが、素直な人柄の青年だと思います。眞子さまと生涯をともにされたいという覚悟があるなら、素直でありさえすれば、必要な品格は、今後の訓練でいくらでも磨くことができると思います。

「家格」、「血筋」がいかに当てにならないかを、宮様詐欺師・竹田恒泰氏は、みごとに証明しています。「氏より育ち」といいますが、血筋よりも、素直で正直で誠実な人柄であることの方が、はるかに価値があると思います。

竹田氏は、こうも言います。

「天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これを断絶させることはできない。」

女系になると「断絶」となぜ、決めつけるのでしょう。母方の血筋がつながっている、父方の血筋がつながっている、父母両方の血筋がつながっている、どの場合でも、血統は断絶していません。そう考えるのが、人として自然ではないでしょうか。


確かに、女性天皇容認(公認)は、大いなるパラダイムシフトであるともいえます。

パラダイムシフト:ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化すること。社会の規範や価値観が変わること。

竹田氏や男系派、あるいは彼らの言うこと、これまで続いて来たこと、父方の血筋がつながってきたことを変えてはいけないと思う人々は、この劇的な変化に不安と抵抗を覚えているのだと思います。

しかし、パラダイムシフトは、新たな発展をもたらす大いなるエネルギーを生み出すことにつながります。「女系天皇公認」は、「女性の価値の再発見」という新しい希望に満ちた時代を生み出す、そんな予感がいたします。新たに生まれ替わる、そのための変化を恐れない、それが国民と共に歩んでこられた皇室が長年続いて来たゆえんだと思います。


今日も読んでいただき、ありがとうございました。
暑い日が戻ってきました。皆様の御多幸とご健康をお祈り申し上げます。

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