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本物を見る目 [友情]

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*私の尊敬する仏師 西村公朝師の仏画の描きかたを手本にしました。*

今日は本物を見る目について、日ごろ思っていることを書きます。

わたしはひところ白洲正子の作品を続けて読みました。その中に、骨董品の真贋を見分ける眼を養うには名品に数多く接することと書かれているのが、目に留まりました。

絵の勉強をしていた若かったころ、私は「本物を見る目」が無いことに悩んでいました。名作と言われる作品を目にしても心の奥から湧いてくる感動がなく、尊敬する先輩、先生方の評価を気にして、その人々の見方を真似しようとしたものでした。

子どもの頃ピアノを習っていたときも、音楽を聴くことに興味が無いのに「精神一到何事かならざらん」と指を動かす練習を繰り返せば上手になれると思っていました。そんな練習が楽しいはずもなく、中学校でやめてしまいました。

学校の勉強が好きだったのは、同じことを何回も反復すればそれなりの成績をおさめることができたからですが、美術や音楽はそういう世界ではありませんでした。

絵を習っているころ、後に学んだ骨董に関する白洲正子の考えと同じこと「本物の探し方」を、友人から教えられました。

「あなたは、美術館に行くと、最初から最後まで一枚一枚の絵を丁寧に見ているけれど、それじゃあ疲れるでしょう。絵を見る時は、全体をざっと見てから、心に残った絵の前にもどって、それだけをじっくり見ればいいのよ。」

「心に響いたもの」に気持ちを集中するだけでよい、その見方を教わってから、美術館に行っても疲れなくなりました。自分はこういう絵が好きということも、だんだん分かってきました。

骨董品の真贋を見分けるのも同じことで、本物を手に取り、自分の心の動き方を見つめ、心地よい響きを自分の感覚で味わうこと、それが本物を見る目を培うことになるのだと分かってきました。

結局、私は、骨董品よりも音楽よりも絵画よりも、文章を味わうことが一番、好きなのだというのが、最近になってようやく分かりました。それで今は余暇には、ブログを書くことに力を入れています。

それでも美術を習ったことで教えられたことがあります。教えてくれた友人とも先生とも今は交流がありませんが、教えられたことはいつまでも、心に残っています。

1、美術品でも何でも「本物」に接する。

2、作品を創る時は、目の前の対象物をじっくり観る。(心の眼でも観る)

3、デッサンするときは、形がずれていても良いから、最初の線をまず引く。


1、 について
私にとって本物の文章は、天皇陛下のお言葉と御製です。的確で、あたたかくて深いお言葉は他に類を見ません。いつでも接していたい、それが天皇、皇室の方々のお言葉です。
それで天皇の御歌を続けて学ぼうと思ったのです。本物の文章に常に接していると、マスコミや言論人の皇室に関する論評などが的外れなときは、すぐに見抜くことが出来るように思います。


余談ですが、最近、男系派に対する辛口の言葉ばかり並べていたことに気付きました。男系派から質問されて、彼らの文章を読むようになって、あまりのいい加減さにかなり腹を立てていたのでしょう。偽物を見せられる苦痛に耐えながら男系派の質問に答えていたので、つい愚痴がたまってしまい、それをここに書いてしまったようです。具体的な文章をあげて論評しないで愚痴だけ並べるのはあまり良いことではないなと、ちょっと反省しているところです。今度からは、具体的な文章をあげて論評することにしようと思います。


2、について
目の前の対象物をじっくり見る訓練はいろいろな場面で役立っています。元々私は細かい生き物を観察するのは好きでした。顕微鏡でミジンコなど水中の生物を見るとか、昆虫や花の細部を観察するとか子供の頃から好きでした。

これを文章に応用すれば、第一次資料、つまり本人が書いた資料を丁寧に読むことにつながっていると思います。第二次資料、他人の伝聞記録は、伝え聞いた人の解釈が入り、元の文章と意味がずれていることがあるからです。そのために出来る範囲で元の文章を探し求めます。

さらに文章を書いた人が信頼に値する人なのかも調べます。学歴、肩書なども参考にしますが、それ以上に、筆者が誠実な人であるのか、金儲け主義でないかなどを、調べることにしています。


3、について
デッサンをするとき、真っ白な画用紙を前にして、そこに線を引くときに思い切りが必要です。子供の頃はむしろ気に留めなかったのですが、大きくなって上手に書こうという気持ちが高まれば高まるほど、いつまでも線が引けなくなる、間違った線を引くことが恐くなってしまうのです。
そんな時、先生が言いました。

「線を一本引けば、その線が正しい形からずれていることが分かる。分かったらそれを基準にして正しい線を引き直せばよい、心配しないで最初の線を引くことだ」

文章もそうです。よいことを書こうと思うと、最初の一言が出ない。そこで手が止まってしまう。何でもよいから、気にせずに書き始めれば次の言葉が続いて出て来る。

いちばん書きやすいのはノートへのなぐり書きです。誰にも見せないので好き放題に書きなぐると、せき止められていた思いがほとばしり出て、次の言葉を見つけやすくなります。なぐり書きはそのままでは人に見せられませんが、言葉がつまっているときに、流れを導きだすのにはとても有効な方法です。

これまでの人生で、良い友人や先生に恵まれたことをあらためて感謝しています。これからも、リアルでもネット上でも、良い出会いがあることと期待しています。

本物の文章を深く味わうこと、対象をよく観ること、一歩踏み出す勇気を持つことの努力を、これからも続けて行きたいと思います。

今日も読んでいただきありがとうございました。
急に涼しくなりました。みなさまもどうぞお身体に気をつけて、お健やかにお過ごしください。

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