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皇室祭祀と国民との触れ合い―天皇のお務め [今上陛下]

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女性天皇に反対を唱える、ある人のブログを読みました。

その人の主張では、天皇にとって宮中祭祀は最も重要である、もし女性が天皇になられると、妊娠、ご出産により、宮中祭祀が十分に執り行えないから、天皇は男性でなければならないとのことでした。

宮中祭祀が天皇にとって最も重要であることは、もちろん、私も同感です。しかし、女性天皇になったら宮中祭祀がおろそかになるとの心配は、杞憂だと思います。

日本の歴史では8方10代の女性天皇がいらっしゃいました。女性天皇のご妊娠、ご出産、月経の時などの祭祀の執り行い方の先例は、宮中の記録に残っているはずです。

直近では、江戸時代の第117代・後桜町天皇(御在位:1762年~1770年)がいらっしゃいますが、ご即位にともなう大嘗祭は、2つの日程が用意されていたとのことです。日常の祭祀についても、その時の記録に習えば、何の問題も無いことと拝察申し上げます。

畏れ多い例えですが、男性の天皇でも、一時的なお身体のご不調で祭祀を執り行えないこともあるでしょう。同じように考えられるのではないでしょうか。


宮中祭祀などの、国内の天皇のお務めに関連する、高森明勅氏の「皇室祭祀」と国民との触れ合いについてのブログを思い出しました。

少し前、3月1日の記事ですが、大切なことだと思ったのでご紹介します。


☆☆☆

『天皇の“お務め”を巡って、奇妙な対立があるように見える。右派や保守系は、天皇の最も大切なお務めは神聖な祭祀である、と強調する。その一方で、国民との触れ合いには冷淡で、わざわざ被災地などにお出まし戴く必要はない、などと言う。


これに対し、左派やリベラル系は、被災地などにお出ましになって、国民と触れ合われることこそが天皇の最も重要なお務めだとする。しかし、これまで天皇が大切にして来られた祭祀については、むしろ否定的。国民と無縁な古臭い祭祀なんて、今後はいつまでも続けられるには及ばない、と。ほとんど正反対の立場だ。


この対立をどう考えるべきか。私は、天皇の国内に向けたお務めを、大まかに3種類に整理している。


①憲法に定められた国事行為。

②国民の思いに寄り添われること。

③皇室の神聖な祭祀に携わられること。


これらのうち、①は憲法の規定によるものなので、原則として賛否の対象にはなりにくい(問題視する場合は憲法改正論という切り口になる)。


残りの②③から、右派や保守系が③を重視し、左派やリベラル系は②を重視するという構図だ。しかし、どちらか一方だけを重視して、他方を軽視又は否定するという態度は、正しくないだろう。』

『そもそも天皇の祭祀は、一般の宗教家の祭祀とは異なる。皇祖皇宗(こうそ・こうそう、皇室の最初の祖先=天照大神以降、代々の祖先)への祭祀が中軸をなす。祖宗(そそう、皇祖皇宗)と厳粛に向き合われる祭祀を通じて、代々受け継いで来られた国民の為に誠心誠意お尽くしになられるご精神を、改めてご自身の御心にお刻みになる。それは突き詰めて言えば、国民の為の祭祀に他ならない。


にも拘(かかわ)らず、実際に目の前で国民が災害などで苦しんでいても、それには背を向けて、ひたすら宮中の奥深くで祭祀だけ型通りに打ち込まれるとしたら、それは肝心な祭祀の“精神”そのものを蔑(ないがし)ろにする振る舞いと言わねばならない。』

『日々、心身の清浄を保たれ、謙虚かつ真摯に祭祀に携わられることによって、代々受け継いで来られた国民に尽くされる無私公正な精神を自ら身に付けられ、その高貴な精神のご発露として、被災者や様々な国民の身近にお出まし戴くからこそ、政治家や他の者からは期待できない、絶大なお慰め、お励ましなどを、人々は天皇から“受け取る”ことが出来るのではないか。』


『「皇室祭祀」と国民との触れ合い』高森明勅公式ブログ 2021年3月1日
https://www.a-takamori.com/post/210302

☆☆☆


右派は「宮中祭祀」の重要性を説きますが、国民との触れ合いには比較的冷淡に見えます。

一方左派は「国民との触れ合い」を重視しますが、宮中祭祀は軽視するというような傾向があります。

しかし、「宮中祭祀」と「国民との触れ合い」は補い合うものであり、どちらも欠くことができないという視点が必要だという、高森氏のお考えは重要だと思いました。

今日も読んでいただき有難うございました。
私の住んでいるところでは桜が満開です。
皆様も、どうぞ良い一日をお過ごしくださいますよう。


タグ:女性天皇
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