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有識者会議、10“聴取項目”(案) [皇室典範改正]

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3月23日、安定的な皇位継承策などを検討する、退位特例法の附帯決議に応える為の有識者会議の初会合が首相官邸で開かれ、メンバーによる互選で清家篤・前慶応義塾長が座長に決まりました。

有識者会議において、専門家へのヒアリングを行う際に、10の聴取項目(案)を、以下の通り、設けています。

問1、天皇の役割やご活動について。

問2、皇族の役割やご活動について。

問3、皇族数の減少について。

問4、皇位継承資格を「男系男子」に限定し、女性皇族はご婚姻と共に皇籍を離れられる現行制度の意義について。

問5、内親王・女王に皇位継承資格を認めること、その場合の継承順位について。

問6、皇位継承資格を女系に拡大すること、その場合の継承順位について。

問7、内親王・女王がご婚姻後も皇籍に留まられること、その場合、配偶者やお子様を皇族にすることについて。

問8、ご婚姻により皇籍を離れられた元女性皇族が皇室のご活動を支援することについて。

問9、皇族ではない皇統に属する男系の男子が①養子縁組や②そのままで新しく皇籍取得を可能にすること、その場合の継承順位について。

問10、皇位の安定継承、皇族数の減少への対策について、その他にどのようなものが考えられるか。


神道学者、皇室研究者の高森明勅氏は、
「この度の退位特例法の附帯決議に対応する為の有識者会議の良い点」は、
「専門家へのヒアリングを行う聴取項目が、網羅的でバランスの取れた内容になっている」

と評しています。

高森氏のブログから抜粋します。

☆☆☆

「附帯決議に真正面から応える為に、検討が必要と思われる事項は、ほぼ漏れ無くカバーしていると言ってよいだろう。


又、設問の配列自体も、極めて真っ当な並べ方になっている。慎重に現行制度の「意義」を見極めた上で、これまで提案されている対策案を、女性天皇→女系天皇→女性宮家→“皇女”プラン→国民の中の皇統に属する男系の男子に皇籍の取得を認める(いわゆる旧宮家案のままではない!?)、という順序で並べている。ごく常識的で、共感が持てる。」

(「論点を網羅、有識者会議の10項目」2021.0328 【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/post/210328

☆☆☆


○付帯決議に応える為に、検討が必要と思われる事項はほぼ漏れなくカバーしている

○設問の配列も、真っ当な並べ方である。
現行制度の「意義」を見極めた上で、
これまで提案されている対策案を、

女性天皇
→ 女系天皇
→ 女性宮家
→ “皇女”プラン
→ 国民の中の皇統に属する男系の男子に皇籍の取得を認める

という順序で並べている。



その上で、高森氏は、

「問9、皇族ではない皇統に属する男系の男子が①養子縁組や②そのままで新しく皇籍取得を可能にすること、その場合の継承順位について。」

『「皇室と国民の「区別」は当然、曖昧にならざるを得ない。』

との懸念も表明しています。


☆☆☆

その9番目は以下の通り。


「皇統に属する男系の男子を下記①又は②により皇族とすることについてはどのように考えるか。その場合、皇位継承順位についてはどのように考えるか。①現行の皇室典範により皇族には認められていない養子縁組を可能とすること。②皇統に属する男系の男子を現在の皇族とは別に新たに皇族とすること」


この項目が“9番目”に位置付けられていること自体、同会議のスタンスを示しているだろう。ちなみに、10番目は「対応方策として、そのほかにどのようなものが考えられるか」。

だから、具体的な設問としては“最後”に置かれていることになる。「復帰」という間違った言葉ではなく、「新たに皇族とすること」と書いているのは当たり前ながら、正確だ。


しかし、気になるのは、「(皇族ではない)皇統に属する男系の男子」という漠然とした表現が使われている点。小泉純一郎内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書では、「昭和22年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫」と限定的に表現されていた。それが“敢えて”変更されたのは、特別な理由があるのか。


いわゆる旧宮家系男性“以外”にも、国民の中に「皇統に属する男系の男子」は多くいる。

それらの人達も対象に加えようとしているのか。例えば、江戸時代の天皇(後陽成天皇や東山天皇)のお子様が摂関家(近衛家・鷹司家・一条家)の養子に入ったケースがある。その系統の人物が何人も(何十人も…か?)知られている。その1人は「大阪北新地でワインバー…を経営している」(八幡和郎氏)とか。


又、明治以降、16名ほど男性皇族が臣籍降下されている(うち2名は非嫡出で皇籍になかったので厳密には臣籍降下ではないが、皇統に属する男系の男子であるのは同じ)。その子孫の系統も対象になり得るのか、どうか。そうやって広げるならば、対象者はほとんど際限なく拡大するだろう。


そうなると、皇室と国民の「区別」は当然、曖昧にならざるを得ない。皇室の尊厳、「聖域」性も揺らぐことになろう。しかし、上記の設問では、対象者を限定する“線引き”が、原理的に困難ではあるまいか。

(『有識者会議「旧宮家系」以外も対象?』2021.03.27 【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/post/210327



『問9については、熟慮の上で、従来、一部で唱えられていた「旧宮家案」を、制度として整合性が取れる形に手直しした可能性がある。小泉内閣の時の有識者会議報告書の場合は、旧宮家案を斥ける趣旨だった。なので「昭和22年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫」という限定的な表現を用いた。


しかし、今回は新しい制度を作るかも知れない、という文脈。その際、一般的に「(皇族ではない)皇統に属する男系の男子」を対象とする制度はあり得ても、その中から「昭和22年に…」という人々だけを(政治的な経緯を理由として)“例外的に”取り出して、皇籍取得を可能にするのは、法的整合性が取れない、と判断されたのだろうか。その結果、国民の中から“幅広く”皇籍取得を可能にする制度設計になり、皇室と国民の区別を曖昧にして、皇室の尊厳、「聖域」性を損なう危険性が更に高まったように見える。


旧宮家案の制度的な実現可能性を真面目に追求して、皮肉なことに問題点が逆に浮き彫りになった格好だ。』

(「論点を網羅、有識者会議の10項目」2021.0328 【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/post/210328


☆☆☆

○皇族ではない皇統に属する男系の男子が下記①、②によって、皇籍取得を可能にすることと、その場合の継承順位。

① 現行の皇室典範により皇族には認められていない養子縁組を可能とすること。

② 皇統に属する男系の男子を現在の皇族とは別に新たに皇族とすること。


○「(皇族でない)皇統に属する男系の男子」という漠然とした表現が使われている。

○小泉内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書では、「昭和22年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫」と限定的に表現されていたのが、敢えて変更された。

○今回は新しい制度を作るかも知れない、という文脈。「昭和22年に…」という人々(旧宮家案)だけを“例外的に”取り出して、皇籍取得を可能にするのは、法的整合性が取れない、と判断されたのだろうか。その結果、国民の中から“幅広く”皇籍取得を可能にする制度設計になった。


今後の、有識者会議の動向を注視して参りたいと思います。

今日も読んでいただき有難うございました。
皆様、どうぞ好い一日をお過ごしください。

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